「野球が好きすぎて」東川篤哉:プロ野球ファンのプロ野球ファンによるプロ野球ファンのためのベタなユーモアミステリー

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 プロ野球ファンが殺された。
 主人公の警視庁捜査一課・神宮寺つばめは、熱烈なヤクルトファンの父・神宮寺勝男警部と共に事件を追う。

 コアなファンが集まるベースボール・バー「ホームラン・バー」で捜査するふたりの前に、全身赤の謎のカープ女子が現れて、鋭い推理を――。

『謎解きはディナーのあとで』の東川篤哉が贈る、2016年から2020年までの各年に起きたプロ野球にまつわる出来事を題材にした、5編のユーモア&ライトミステリー。

 カープファンの作者のプロ野球愛を感じる、倒叙形式で書かれた連作短編集です。
 
 \小ネタ詰まってます/

 

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野球が好きすぎて

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野球が好きすぎてアイキャッチ

第1話「2016年 カープレッドよりも真っ赤な嘘」あらすじ・感想

 2016年9月、東京近郊では、プロ野球版「ボンタン狩り」こと、お宝ユニフォーム強奪事件が発生していました。

 それに目を付けた「俺」は、いつも赤い野球帽をかぶった高原雅夫(たかはら まさお)の殺害を思いつきます。


~■~■~■~

 高原の死体が発見されて捜査にあたるのは、警視庁捜査一課の若手刑事・神宮寺(じんぐうじ)つばめと、父の警部・神宮寺勝男(じんぐうじかつお)

 

 つばめという名前は、熱烈な東京ヤクルトスワローズファンの父親がつけたものですが、つばめ本人はそこまでプロ野球に思い入れはありません。


 捜査で「ホームラン・バー」というベースボール・バーを訪れたふたりは、広島東洋カープのユニフォーム(背番号はスライリー用の「!」マーク)を着て赤い眼鏡をかけた、謎のカープ女子に出会います。

 

 自分を「神津テル子(かみつてるこ)」と呼んでほしいという彼女は、事件について鋭い推理を展開し――。

 
  • 謎解きに、とあるスポーツアイテムに関する知識が必要だったり(わたしは知りませんでした)
  • 都合のいい展開だったり
  • 父子で捜査一課刑事という、謎人事がまかり通っていたり 笑

 

  という難点はあるものの、

 

  • 着眼点はミステリーとしてもプロ野球ものとしても面白い
  • 短い作品ながらきれいにまとまった本格ミステリーです。

 

 そして、なんといっても野球にまつわる小ネタが多い! 笑

 笑いはベタ。

 

 2016年って、

 大谷選手が日ハムにいたり、

 カープの現監督・新井貴浩「一時期、重大な選択を間違えてカープ以外のどこかの球団に迷い込んでいた」あとで、カープに復帰したりした時期なんですね。

(ツライさん……)

 

 そして、この年はカープがリーグ優勝した年でもあるので、カープファンだという作者の東川先生は、さぞかし気分よく執筆されたことでしょう 笑

 

 ただ、よくわからなかったのが、主人公つばめの父・勝男が長年熱狂的に応援しているヤクルトについても、やけに詳しく書きこまれているところ。

 

 探偵役がカープファンなのはわかるけど、なんでここまで? 笑

 東川先生、カープの次にヤクルト推し? 笑

(あのイジリ方は身内に向けたものとしか)

 

 個人的には、つば九郎がちょいちょい登場して嬉しかったです。

 

 

 この作品は、『ベスト本格ミステリ2018』にも収録されています。

(前の記事でご紹介した短編『透明人間は密室に潜む』も選出されているアンソロジーです)

 

 

 \前回記事はこちら/

第2話「2017年 2000本安打のアリバイ」あらすじ・感想

 2017年8月、巨人びいきのベテランアナウンサー野島敬三(のじま けいぞう)を殺そうとする「私」

 

 巨人対広島のナイターを観ていた彼を殺した直後、阿部慎之助選手が2000本安打を達成します。


~■~■~■~

 その後、事件の捜査にあたる神宮寺父娘が「ホームラン・バー」で関係者の話を聞いていると、1年ぶりにあの謎のカープ女子が。

 

 今年は「田中菊マル子(たなきくまるこ)」と名乗る彼女は、ふたりの前でまたしても鋭い推理を――。

 

 論理展開はアリですが、これまた全体的に都合のいい話ではあります 笑

 

 2000本安打がたくさん出た年だったんですね。

 現巨人監督の阿部慎之助の他に、中日の荒木元ヤクルトの青木(メジャーにいるので日米通算)阪神の鳥谷といった選手たちも。

 

 話とまるで関係ないのに、ヤクルトOBの宮本慎也やヤクルト山田選手の扱いがひどかったわー 笑

第3話「2018年 タイガースが好きすぎて」あらすじ・感想

 2018年9月、タイガースファンの叔父・村山虎吉(むらやま とらきち)の家を見舞いと称して訪れた「俺」は、テレビで広島対阪神のプロ野球試合を観ていた叔父を刺殺します。


~■~■~■~

 その後、事件を捜査するつばめたち父娘の前に、三たび現れたカープ女子は、今年も「田中菊マル子」と名乗り――。

 

 これは盲点でした!

 なるほど!

 

 この年、カープはリーグ3連覇したんですねえ。

(おめでとうございます✨)

 

 毎年進行形のような形で書かれている作品だけに、2か月後の、あのFAが切ない……笑

第4話「2019年 パットン見立て殺人」あらすじ・感想

 2019年8月、「目の上のタンコブ」である杉本敦也(すぎもと あつや)を殺そうと目論む「私」は、DeNAのパットン投手が起こした冷蔵庫殴打事件を利用することを思いつきます。


~■~■~■~

 その後、事件を捜査するつばめたちの前に現れたカープ女子は、今年は「連覇タエ子(れんぱたえこ)」と名乗って――。

 

 いやいやいや、これはさすがに、冷蔵庫無理やり使おうとしすぎじゃない? 笑

 

 トリックは面白いけど、

 毎年実際のエピソードと絡めて書くっていうのはすごいけど、

 それはそれとして、

 無理やりがすぎん? 

 

(大事なことなので2回 笑)

 

 とはいえ、

 犯人にはびっくりしました

 

 でも、あの手口は(3回目)

 

 丸選手、2025年シーズンも大活躍でしたね…… 笑

第5話「2020年 千葉マリンは燃えているか」あらすじ・感想

 2020年の秋も深まった時期、小柳博人(こやなぎ ひろと)から別れ話を切り出された「私」

 邪険にされて激高するわたしに構わず、テレビで千葉ロッテマリーンズのリーグ2位がかかったプロ野球中継を見始める博人。

 コロナ禍で、今年は3位のチームにはクライマックスシリーズへの出場権がないのです。

 そんな彼を「私」が衝動的に殺した直後、テレビ画面の中では、ロッテのホームゲームが西日で中断していました。


~■~■~■~

 その後、事件を捜査するつばめたちの前に現れたカープ女子は、今年は「暗黒時代」と書いて「暗黒トキ代(あんこくときよ)」と名乗りますが――。

 

 コロナ禍でペナントレースが遅れた年の話

 

 そういえば、この翌年の日本シリーズ最終戦でも、11月末のナイターというだけでもしんどい上に試合は延長、しかも京セラドームが使えず屋外で、選手たち白い息吐いてましたねえ。

 

 

「な、なによ……あなた、私より野球の方が大事なの……?」

 

 はアリとしても、

 

「そう、私はロッテに負けるのね……ロッテより弱いのね、私は……」

 

「『ロッテより弱い』なんて、僕はひと言もいってないぞ。もちろん元近鉄の加藤哲郎(かとうてつろう)だって、そんなことはひと言も」

 

 は、さすがにクドい 笑

 

 古傷がすぎる 笑

 

 

 短いながらミスリードいくつものトリックが楽しめて、

 ZOZOマリンや壇蜜のくだりもクドかったけど、

 この連作短編集で一番好きな作品でした。

 

 あと、東川先生はロッテと川崎球場に謝った方がいいと思う。

 

 ついでにいうと、あの店のマスターはどういうことになっているのだろうか。

「野球が好きすぎて」こんな方におすすめ

 軽く読めて笑える作品。

 続編も書かれているので、単行本になるのが楽しみですね。

(現在、Webジェイ・ノベルに、2023年シーズン『死に際のアレの問題』が掲載されています)

 

  • プロ野球と本格ミステリーが好きで、推し球団がネタにされても笑って読める

 

  • 本格ミステリーが好きで、知らない小ネタがあってもイラッとしない

 

  • プロ野球が好きで、なんでも許せる

 

  • 作者・東川篤哉のファン

 (東川先生の初めて書いた「あとがき」が読めますよ~

 

  • ミステリーとか難しいことはさておき、小ネタで笑って過去を振り返りたいプロ野球ファン

 

 におすすめです。

 

 

 

 

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 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪

 

 

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