彼のアリバイを証言できるのは妻だけだが、妻は弁護士に予想外の態度をとる。
その後開かれた法廷で、検事が意外な人物を喚問し――。
1953年発表の傑作法廷ミステリー。

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戯曲「検察側の証人」とは
同名の短編小説が原作
巻末の菅野圀彦による解説「一転、二転、三転の逆転劇」によれば、この戯曲『検察側の証人』は、作者クリスティーが同名の短編小説を戯曲に書きかえたもの。
タイトルと大まかなあらすじは小説と同じですが、結末は異なります。
なお、小説『検察側の証人』は、短編集『死の猟犬』に収録されています。
舞台は大成功
1953年10月、ロンドンのウィンター・ガーデン・シアターで初演した『検察側の証人』は、大成功を収めました。
作者クリスティーは、
「これは自作の劇の中でもっとも好きな一つである。わたしはこの劇に他のどれよりも満足している……」
と『自伝』で述べているそうです。
その後、劇はニューヨークで演劇批評家協会の最優秀外国作品賞を受賞。
上演回数は646回と、ロンドンを超えました。
70年以上たった今も、日本を含む様々な国で愛される作品です。
「検察側の証人」映画化・ドラマ化
本作は舞台で演じられる他、映画化・ドラマ化もされています。
映画化作品では、
1957年製作の「情婦」(ビリー・ワイルダー監督、マレーネ・デートリッヒ出演)が有名です。
「検察側の証人」あらすじ
勅選弁護士ウィルフリッド・ロバーツ卿の事務室に、事務弁護士メイヒューが、レナード・ボウルという青年を連れてきます。
注:巻末の解説によると、イギリスの刑事裁判は、
- 被告人がソリシター(事務弁護士)に事件担当を依頼し、
- ソリシターがバリスター(法廷弁護士)を選んで法廷で弁論してもらう、
という仕組みになっているそうです。
本作では、
- レナードがメイヒューに事件担当を依頼し、
- メイヒューがウィルフリッド卿を選び、レナードの法廷で弁論してもらっています。
「検察側の証人」感想
レナードの描写がうまい!
殺人事件の容疑者であるレナードの、軽率でちょっとずるいけど憎めないキャラの描写が絶妙でした。
ドイツで結婚した外国人の妻がいるレナード。
20代後半にして仕事が続かず無職の彼ですが、
若い女性から年配の女性まで、
さらには
弁護士のおじさんたちにまで、
とにかく「感じがいい」とモテまくるんですよね。
さすがはミステリーの女王。
レナードのかわいげと、とはいえかなりダメな感じが、彼のセリフからあますところなく伝わってきました 笑
色濃い戦後の雰囲気
1952年発表の戯曲『ねずみとり』に続き、1953年に発表された本作も、第二次大戦後のイギリスが舞台の物語です。
レナードが妻のローマインとドイツで知り合い、結婚してイギリスに帰国したという過去が、
共産圏だったベルリンから「連れ出してくれて」「逃がしてくれた」と表現され、
ローマインがレナードに「感謝すべき」とされているのが印象的でした。
(1949年にドイツが東西に分かれ、首都ベルリンも東西地区に分かれていて、経済格差のため東ベルリンから西ベルリンへと人の移動が増えていった時期の物語になります。
ローマインは東ベルリンにいたわけですね。
この時期、「ベルリンの壁」はまだ作られていません)
俳優たちの演技が見たくなる! 緊迫感に満ちたセリフのやりとり
セリフ自体はシンプルながら、
とても緊迫感のある会話で構成された戯曲でした。
特に終盤、読んでいるうちに、
実際の演技がめちゃくちゃ見たくなりましたねー。
どんな会話シーンになってるんだろうこれー! って。
なかでも、
「(前略)みなさん、××××に同情してくださったでしょうけれど、でも、決して信じてはくださらなかった(後略)」
(ネタバレ防止のため一部伏字にしました)
という、ある人のセリフが響きました。
この人、すごく冷静で、人の心の動きを熟知していて、
それゆえの、あの策略なんですよね……!
「検察側の証人」こんな方におすすめ
- 法廷劇が好きな方
- サスペンスが好きな方
- 濃い人間ドラマが好きな方
- 心理を利用したトリックに興味のある方
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
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