「天使に見捨てられた夜」桐野夏生:「#MeeTo」を経た今読み返したい!村野ミロシリーズ第2作

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※本作には、性暴力に関する記述があります。苦手な方は、ここでストップしてください※

 前作の事件から1年あまり。

 ミロは夫の死や親友の事件による心の傷を抱えたまま、父の跡を継ぐように調査探偵となっていた。

 懐の寂しい年の瀬、恩人の多和田弁護士から、フェミニスト系出版社を経営する渡辺を紹介されたミロは、失踪したセクシー女優の捜索という難しい依頼を、気が進まないながらも受けることに。

 新しい隣人・友部と共に、アダルトビデオ業界に足を踏み入れたミロは、欲望と暴力の渦に巻き込まれ――。

 1994年発表。
 

※わたしは手元の1997年版文庫で読みました。

 

 \シリーズ前作/第1作はこちら/

 
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天使に見捨てられた夜アイキャッチ

「天使に見捨てられた夜」あらすじ

 前作の事件から1年あまりたった、12月初旬。
 
 善三の看板を継ぐように調査探偵を始めたミロですが、仕事は少なく、父に借金をして食いつないでいます。

 ある日ミロは、父の知人で前作でも世話になった多和田弁護士から、渡辺房江というフェミニズム系出版社の社長を紹介されます。

 彼女の依頼内容は、失踪したセクシー女優の捜索でした。

 一色(いっしき)リナという芸名の、20歳前後とみられるその女優は、初めてのアダルトビデオの撮影で騙されて複数人による性的暴行を受け、姿を消していました。
 
 被害の様子は撮影され、それを目玉に商品化され、人気作となっています。
 
「アダルトビデオの人権を考える会」代表でもある渡辺は、リナをみつけて被害を訴える支援をしたいとミロにいいます。
 
 渡辺の活動の意義はわかるものの、難しい依頼内容に尻込みするミロでしたが、日頃仕事をまわしてもらっている多和田弁護士の紹介では断れません。
 
 新宿2丁目にあるミロのマンションの、前作ではフィリピン人女性たちが暮らしていた隣室には、今はゲイでバー経営者のトモさんこと友部秋彦(ともべ あきひこ)が住んでいます。
 
 ある晩、彼の友人を助けたことから、ミロはトモさんに調査を手伝ってもらうことに。
 
 リナの所属プロダクションや、問題のビデオの制作会社に接触するミロですが、予想通り調査は難航します。
 
 制作会社のカリスマ性のある社長・矢代亘(やしろ せん)と知り合ったミロでしたが――。
 
 \前作の紹介記事はこちら/

「天使に見捨てられた夜」感想

回復中のミロ

 経済的にはピンチで、夫の死に加え前作の事件のダメージも残っているミロですが、朝は9時前に起きるなど、前作より少しは元気になってきた印象です。

 

 夫の博夫の死から2年という記述があるので、彼は前作の1年前(ミロと夫が31歳の年)に亡くなっていたんですね。

 

 そんなミロですが、頑張ってはいるものの、まだ情緒不安定

 つい他人に踏み込みすぎてしまうシーンが、読んでいて辛かったです。

 

 そんなに辛いなら、パパとか友だちに頼って、カウンセリング受けにいきなって~。

 

 でも、ミロ、(前作の)耀子以外に親しい女友達いないのかな……。

やらかすミロ

 作中、やってはならない軽率な行為をしでかすミロ

 

 うーん、

 別に、偉そうなこといいたいわけじゃないし、

 ミロの人生全体を考えると、絶対にやるなとはいいきれないけど。

 

 やるなら、いざとなったとき仕事とどっちを取るのか、優先順位つけないとなー。

唐突ですがファッションチェック

 村善、好きだけど。

 好きなんだけど。

 

 服のセンスが、マフィアすぎるだろう! 笑

 

 あと、ミロ含めてこのシリーズ、

 夜なのにサングラスの人が多すぎる 笑笑

突然のホラーはやめてー

「後ろ向いてる」

 は、確かに怖い。

 ミステリー的にはさておき、

 怪談というかホラーっていうか、

 ビジュが怖い!

 

 もうひとつ、

「部屋の隅」のくだりも怖かった!

今回もハードボイルド

 主人公がいろいろと危ない目に遭うシーンが続き、ページをめくる手が止まらない作品です。

 

(経済的にも、この仕事がなかったらコンビニでバイトするくらいピンチのミロ)

 

(とはいえ、伊勢丹や三越で美味しいものを買うミロ。まだ結構バブリー 笑)

 

 ミステリーとしては、謎解き要素は弱め。

 

 前作同様、気になる物事のまわりを無鉄砲につつき回すミロが、ときに暴力をふるわれながらも、めげずにうろうろするうちに真相に辿り着きます。

 

(でも、朝まで宅飲みとか、仕事の進捗と関係なく自営業の自由を満喫するミロ 笑)

 

 犯人がわかった瞬間は、ぞっとしました。

 

 前作と同様、今回も特殊なトリックはなく、リアルな犯行。

 

 犯行の動機には、他にやりようがあっただろとは思いましたが、犯人の性格と環境によっては、そういう解決方法を選ぶこともあるかも。

 

 真相を知って、ちょっとだけ、横溝正史作品を読んだあとみたいな気持ちになりました。

新キャラ・トモさんと、とらじイチ推しシーン

 新キャラの、端正で美意識高いゲイのトモさんがかっこいい✨

(ストイックすぎて親しくなれる気はしないけど 笑)

 

 異性愛って難しいと思わない?

 同性愛も難しいよ

 

 からの、

 

「世の中で一番崇高な愛だ」

 

 というシーンが大好きです✨

 

 心の声に従うことで、視界が晴れ迷いを抜け、互いに譲れないものは認めながらも、寄り添い暖め合うことで孤独が和らぐ。

 

 この作品でいちばん美しい場面。

 

(詳しくは読んでのお楽しみ ♪)

 

 

 ……なのに。

 

 なのになぜ、

 あの『ダーク』……!(号泣)

(読めばわかります! 笑)

「天使に見捨てられた夜」こんな方はNGかも/こんな方におすすめ!

こんな方は無理せずやめておいた方がいいです

 最初にも書きましたが、性暴力の描写を読むのが辛い方は、どうぞご無理なさらず。

(わたしは薄目で乗り切りました)

こんな方におすすめ

  • ハードボイルドが好きな方(特に女性が主人公のもの)

 

  • 「村野ミロシリーズ」のファン

 

  • 作者の桐野夏生ファン

 

  • 「#MeeTo」運動に関心のある方

 

 \「#MeeTo」に関心のある方にはこちらも/

「天使に見捨てられた夜」映画化

 本作は映画化されています。

 監督は廣木隆一、1999年公開。

 

  • ミロ役 かたせ梨乃さん
  • トモさん役 大杉漣さん
  • 矢代役 長澤俊矢さん

 

 話の大筋は変わっていないようですが、オトナな雰囲気のキャスティングですね。

「村野ミロシリーズ」次回予告

 次回はシリーズ第3作、

 といっても外伝

 

 わたくしとらじが偏愛する青春ミステリー『水の眠り 灰の夢』

 をご紹介します。

 

 主人公は、ミロの父、村善こと村野善三。

 終戦直後の東京で、「トップ屋」と呼ばれる週刊誌記者のひとりだった、若き村善を描いた作品です。

 

 まだ全然マフィアじゃない村善、大人ぶってお酒飲んでるけど、初々しい!

 

 でも、読んでて、ちょっと後藤にグラッとくることもあった! 笑

 

 ミロの出生の秘密もありますよー。

( かろやかにせつめい)

 

 またおつきあいいただけたら嬉しいです。

 

 

 

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪

 

 

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