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SFミステリが好きだ。そして、倒叙ミステリが好きだ。(「単行本あとがき」より)
――第1話『透明人間は密室に潜む』
密室劇が好きだ。そして、アイドルが好きだ。
――第2話『六人の熱狂する日本人』
探偵が好きだ。そして、犯人当てが好きだ。
――第3話『盗聴された殺人』
リアル脱出ゲームが好きだ。そして、船上ミステリが好きだ。
――最終/第4話『第13号船室からの脱出』
作品世界はバラバラながら、どれもが魅力的な謎とトリックをはらむ、本格ミステリー傑作短編の詰め合わせ。
「本格ミステリ・ベスト10」(原書房・探偵小説研究会)2021年版国内第1位
「このミステリーがすごい!」(宝島社)2021年版国内編第2位
2020年4月単行本出版、2022年9月文庫化。
――第1話『透明人間は密室に潜む』
密室劇が好きだ。そして、アイドルが好きだ。
――第2話『六人の熱狂する日本人』
探偵が好きだ。そして、犯人当てが好きだ。
――第3話『盗聴された殺人』
リアル脱出ゲームが好きだ。そして、船上ミステリが好きだ。
――最終/第4話『第13号船室からの脱出』
作品世界はバラバラながら、どれもが魅力的な謎とトリックをはらむ、本格ミステリー傑作短編の詰め合わせ。
「本格ミステリ・ベスト10」(原書房・探偵小説研究会)2021年版国内第1位
「このミステリーがすごい!」(宝島社)2021年版国内編第2位
2020年4月単行本出版、2022年9月文庫化。
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今回は、
「四編全部まったく違った話」(著者インタビューより)が詰まった、本格ミステリーファンにはたまらない贅沢な短編集をご紹介します。
\読みたい項目へGo ♪/
■目次■

第1話「透明人間は密室に潜む」あらすじ・感想:2017年12月発表(電子雑誌「ジャーロ」No.62)
全身と老廃物が透明になる「透明人間病」の蔓延した世界。
十数年前に罹患し、透明人間化抑制薬を飲みながら夫と暮らす「わたし」は、新薬を開発中の川路(かわじ)教授を殺そうとして――。
十数年前に罹患し、透明人間化抑制薬を飲みながら夫と暮らす「わたし」は、新薬を開発中の川路(かわじ)教授を殺そうとして――。
透明なことを悪用しようとすると、痛いし寒いし恥ずかしいことが判明……。
(夏のお話でよかった)
設定が特殊なSFミステリーだけに、情報が多く、展開も早く、先が読めないままどんどん話が進みます。
びびりのわたしは
なんでやだこわい大丈夫ー?!
と、おろおろびくびくしながら読み進めましたが、
幸いそこまで暴力的なシーンはなくひと安心。
(とはいえ、殺人はありました 笑)(わろてるばあいか)
メインの謎は密室もののHow。
でも、犯行動機にもびっくり!
これ、ちょっと違和感があったのに読み流してたなー! 悔しい!(← お約束 笑)
ただ、これくらいの人って、そういないけどな……。
(ネタバレ防止にふわっとしか書けませんが、個人的に敏感な領域というか実体験です)
「単行本あとがき」によると、
チェスタトンのブラウン神父シリーズ『見えない男』が発想元だそうで、作中にも引用がありました。
納得感でいえば、現代日本の本格ファンには、『見えない男』のあのトリック(?)より本作の方が支持されそう。
わたしは好きですけど、『見えない男』
※わたくしとらじの推し作品、『見えない男』紹介記事はこちら
この作品は、
『ベスト本格ミステリTOP5短編傑作選004』(2017年に発表された本格ミステリー短編の中からプロが選んだ作品集)
にも収録されています。
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第2話「六人の熱狂する日本人」あらすじ・感想:2018年6月発表(同No.64)
とある殺人事件に取り組んできた、判事の「私」
犯人の自白や証拠があり、裁判長や判事補との関係は良く、6人の裁判員たちも協力的。
この調子なら、評議ではすぐに結論が出ると思っていましたが――。
犯人の自白や証拠があり、裁判長や判事補との関係は良く、6人の裁判員たちも協力的。
この調子なら、評議ではすぐに結論が出ると思っていましたが――。
コメディです。
こちらも
- 第1話と同様、ツボを押さえた本格ミステリーであり、
- 裁判員裁判をリアルに描いた法廷ものでもありますが、
それはそれとして
「単行本あとがき」によると、映画『キサラギ』に挑もうとした作品とのことで、同作のファンにもおすすめ。
筒井康隆『12人の浮かれる男』のファンにも。
(こちらは、本作執筆中に読み直して、いっぱい笑って、モチベにしたそうです)
リンク
なお、本作は、
作者・阿津川先生の推しグループが解散してできた心の穴(のような感覚)を埋めるために生まれたのだとか。
せんせー、弱ってるのに面白い作品書いてくれてありがとう! 笑
【わたしがこの作品で学んだこと】
- サイリウムは「焚(た)く」
- 多くのアイドル「現場」でヲタ芸は禁止されている
- 握手会でアイドルに説教するファンがいる(!)
- ウリャオイ!(すみません、読んでたらどうしてもやりたくなりました……)
本作は、以下のアンソロジーにも収録されています。
(面白そう~ 笑)
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第3話「盗聴された殺人」あらすじ・感想:2019年3月発表(同No.67)
人間離れした鋭い聴覚を持つ「わたし」こと山口美々香(やまぐち みみか)は、大学時代の先輩・大野(おおの)の探偵事務所で事務員として働いている。
「わたし」の耳と大野の推理で、役割分担して事件を解決するふたり。
自分も推理をしたいという「わたし」に、所長の大野は1年前の事件にまつわる「テディベア」というワードを持ち出し――。
「わたし」の耳と大野の推理で、役割分担して事件を解決するふたり。
自分も推理をしたいという「わたし」に、所長の大野は1年前の事件にまつわる「テディベア」というワードを持ち出し――。
冒頭が「6 現在」と、いきなり章番号6からスタート。
あれっと思われるでしょうが、これは時系列順を表しているだけ。
ひっかけとかではないので、気にせず読み進めてください。
続く「1 一年前」で始まる過去の事件が、本作のメインパートです。
(スレたミステリーファンのわたしは、ここで無駄に足踏みしたりなどしました…… 笑)
他の収録作品に比べると謎は易しいものの、これまた作りこまれた本格ミステリー。
聴覚という設定と、不協和音の捜査が新鮮でした。
聴こえすぎるっていうのも大変そうだなあ。
そして、所長にいいたい。
多くの女性は、
いざというとき守ってくれる優秀な男性と一緒に冒険するのは好きだけど、
無意味に危険な目に遭わされるのは大嫌いなんだぞと 笑
安心、だいじ!
そういうとこよ。
なお、本作は、シャーロック・ホームズシリーズの短編『黄色い顔』へのオマージュ。
わたしの好きな「ノーベリ」のくだりが引用されていました ♪
\『黄色い顔』収録の短編集『シャーロック・ホームズの回想』/
最終/第4話「第13号船室からの脱出」あらすじ・感想:2019年12月発表(同No.70)
ゲーム開始から4時間たった午後10時、気づくとカイトは、後ろ手に縛られて客船の一室に閉じ込められていました。
そばには、クラスメイトのマサルの弟・スグルの姿が。
豪華客船で一泊二日の脱出ゲームの旅の途中だったはずが、なぜこんなことに?
一方その頃、
――堂々としていればいいのさ。
懸命に自分にいいきかせるマサルは……。
そばには、クラスメイトのマサルの弟・スグルの姿が。
豪華客船で一泊二日の脱出ゲームの旅の途中だったはずが、なぜこんなことに?
一方その頃、
――堂々としていればいいのさ。
懸命に自分にいいきかせるマサルは……。
リアル脱出ゲームをやったことがないので、こういう感じなのか~と楽しく読みました。
(作者はリアル脱出ゲームの愛好家だそうです)
巻末の千街晶之による「解説」でも述べられている
「ラストの多重どんでん返し」
は、やや強引な部分もあったものの、衝撃的で面白かったです。
推理ゲームが題材なだけに、なにかと暗号が出てきましたが、
とある物理による脱出方法が単純に賢くてかっこよかった! 笑
なお、この作品は、
ジャック・フットレルの『思考機械』シリーズ第1作『十三号独房の問題』へのオマージュだそうです。
※「思考機械」=シャーロック・ホームズのライバルたちのひとり、オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン教授のこと。
\『思考機械』はこちら/
リンク
\「ホームズのライバルたち」についてこちらで触れています/
「透明人間は密室に潜む」作者・阿津川辰海
作者の阿津川辰海(あつかわ たつみ)は、1994年東京都生まれ。
2017年に光文社の新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」により
『名探偵は嘘をつかない』でデビュー。
デビュー作からずっと、
出す本すべてがミステリーランキング入り!
(ただし2025年後半の作品のランキング状況は現時点では未確定)
という、本格ミステリー界の若手実力派作家です。
また、2023年には、
『阿津川辰海 読書日記』(光文社)で第23回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞しています。
短編集「透明人間は密室に潜む」こんな方におすすめ
- 本格ミステリー好きさん
- 本格以外のミステリーファンも、ぜひ!
- ジャンルを問わず、SF・密室劇・アイドル・リアル脱出ゲームが気になる方 笑
\短編ミステリーに興味のある方はこちらも/
୨୧・ 最後までお読みいただき、 ありがとうございました。
みなさま、今年も楽しい物語体験を ♪・୨୧
☆この記事では以下のサイトを参考にしました
○「新聞・出版社の書評まとめ読み!読書家のための本の総合情報サイト Book Bang ブックバン」(株式会社 新潮社)
レビュー「初の短編集『透明人間は密室に潜む』全作解説と、これまでとこれから」
――『透明人間は密室に潜む』著者新刊インタビュー 阿津川辰海
(『小説 宝石』2020年5月号掲載)
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