さらっと読めて元気が出る、「原書房コージーブックス」のライトミステリー。
今回は、
1.チョコレートと本の店を共同経営、自宅もシェアする20代仲良し同級生
2.老舗コーヒーショップのマネジャーに復帰したアラフォーシングルマザー
3.卵料理が自慢のカフェを開いた、わけあり大人女性3人組
が主人公の人気3シリーズをご紹介します。
思わず手に取りたくなる、かわいい表紙も特徴のレーベルです。
1.チョコ職人と書店主の事件簿シリーズ ①「やみつきチョコはアーモンドの香り」キャシー・アーロン:王道コージーミステリー
「やみつきチョコはアーモンドの香り」あらすじ
ふたりは職場の「チョコレート&チャプター」もシェア。
ショコラティエのミシェルは、店の半分でチョコレートショップを、名門大学院修士課程を修了するなど超優秀な頭脳を持つエリカは、妹のコリーンと共に残りの半分で書店を、それぞれ営んでいます。
14歳のときに事故で両親を失って以来、兄のレオと助け合いながら不器用に生きてきたミシェルですが、鋭い嗅覚がいかせるショコラティエという仕事と出会ってからは、一流の業界紙でのテストで優勝するなど活躍中。
そんなミシェルに、イベント絡みで有名パティシエから評価を受けるチャンスがやってきます。
忙しく準備を進めていたミシェルがある朝出勤すると、とんでもない事件が。
隣の写真スタジオの店長・デニースが、「チョコレート&チャプター」の中で、店のチョコレートを前に倒れていて――。
・ミシェル&エリカの兄のビーン
・エリカ&高校時代の彼ボビー警部補
という2組のカップルの恋模様に加えて、
・授かり婚で3児の育児(含双子男児 笑)に奮闘中の若いママ・コリーン
・海兵隊での経験で身も心も傷ついたレオ
など、若者たちの群像劇という要素も強いお仕事ミステリーです。
2014年発表。
「やみつきチョコはアーモンドの香り」感想とシリーズ続編
原題は、“Death Is Like a Box of Chocolates”
邦題や、かわいらしい表紙のイメージとは少々違って、
しっかり連続殺人事件の謎を追うお仕事ミステリーであり、
若者たちの群像劇でもあります。
(ちなみに表紙の左隅に描かれたかわいい生き物は、犬ではなく地域猫のココ 笑)
軽快で説得力のあるストーリー。
頭脳派のエリカの調査・計画にもとづいて、口下手でちょっと内向的なアクション担当のミシェルが、店のために頑張る姿に胸を打たれます。
(がんばれ~)
盛りだくさんな内容で、ユーモアも。
(「ロマンティックコメディってやつは。」で終わる某シーンが最高でした 笑)
著者のキャシー・アーロンは、本作で作家デビュー。
他に、キャシー・クルヴァット名義で、「グルメ・キャット・ミステリ」という、キャットフード開発をしているシングルマザーが主人公のシリーズもあるそうです。
ミステリーとしては1点だけ、「どうしてその場所で?」という謎が残りました。
(ネタバレ防止にふんわりした説明ですみません 笑)
それにしても、美味しいチョコレートや飲み物を楽しみながらゆっくりできる、充実した品ぞろえの書店って、素晴らしすぎますよね……笑
\シリーズ続編はこちら/
2.コクと深みの名推理シリーズ ①「名探偵のコーヒーのいれ方」クレオ・コイル:懐かしの2時間サスペンスドラマファンにおすすめ
「名探偵のコーヒーのいれ方」あらすじ
伝統あるコーヒーショップ・ビレッジブレンドのマネジャーとして、10年ぶりにニューヨークに戻ってきた39歳のクレア・コージー。
初日の朝、アシスタント・マネジャーで本職はダンサーのアナベルに、開店作業を任せていたにもかかわらず、定刻を過ぎても店は閉まったまま。
焦ったクレアが店に駆け込むと、中でアナベルが倒れていました。
ビレッジブレンドの経営者である元夫の母(つまり元お姑さん)には復縁を望まれているけれど、事件を担当したマイク・クィン警部補のことが気になるクレア。
とはいえ、セクシーな元夫・マテオに迫られると、フラッとすることも……。
2003年発表のロングセラー作品。
「名探偵のコーヒーのいれ方」感想・シリーズ続編
美味しいチョコレートときたら、コーヒーでしょ。
(いや、他の飲み物でもいいのですが 笑)
ということで、続いてはコーヒーがテーマのこちらの作品をご紹介します。
コーヒーのうんちく(レシピ付き)と恋多めの、ロングセラーシリーズ第1作。
主人公のクレアは、ハードな子ども時代 ⇒若くしてシングルマザーという苦労人ですが、ひとり娘が独立した途端、なぜかめちゃくちゃモテることに 笑
謎解き要素は薄く、主人公は無茶はしますが痛い思いはしないので 笑、とても気楽に読むことができます。
元お姑さんのマダム・ブランシュの、ゴージャスなライフスタイルや、丁寧に作られるイタリア料理の描写にうっとり。
表紙のかわいい猫はおそらく、クレアが飼っているメス猫のジャヴァ。
三毛猫ホームズみたいな推理はしませんが、なかなかいい仕事をしてくれます 笑
\三毛猫ホームズはこちら/
原題は“ON WHAT GROUNDS”
著者のクレオ・コイルは、アメリカ人マーク・セラシーニとアリス・アルフォンシ夫妻の合作ペンネーム。
(アリス・キンバリーという別名義あり)
邦訳の出版社が倒産したため、一部の作品は中古品しか入手できないようですが、その後「原書房コージーブックス」に引き継がれ、11巻からは新刊が発行されています。
これまでに20巻が邦訳されている、キュートな表紙が人気のシリーズです。
\シリーズ続編はこちら/
\第11巻からはコージーブックス/
3.卵料理のカフェシリーズ ①「あつあつ卵の不吉な火曜日」ローラ・チャイルズ:頑張る大人女性たちを励ます美味しいもの
「あつあつ卵の不吉な火曜日」あらすじ
カフェの朝の目玉は卵料理。
調理担当の穏やかで愛情深いペトラや、接客担当のセクシーなトニと共に、スザンヌが店長として切り盛りする店は、まだ開店3カ月ながら順調に売り上げを伸ばしていました。
そんな8月のある火曜日の朝、スザンヌは、店で食事を終えたばかりの弁護士・ボビーが、裏手に停めた彼の車の中で死んでいるのをみつけてしまい――。
「あつあつ卵の不吉な火曜日」感想・シリーズ続編
カフェつながりでもうひとつ、
40代と50代の女友だち3人が開いたばかりの、卵料理が自慢のカフェのお話をご紹介します。
こちら「カックルベリー・クラブ」は、
・テーブル6つにカウンター8席のカフェ(午後はティーショップに)
だけでなく、
・隣のスペースにはベーカリー
・入り口を挟んだ反対側には、本とCDのお店「ブック・ヌック」や、毛糸と布のお店「ニッティング・ネスト」
も併設する、
この記事の1.でご紹介した「チョコレート&チャプター」にも負けない魅力的なお店なのです。
この作品のチャームポイントは、女友だち3人の友情と、美味しいものたち。
卵料理も、他の料理もパンもスイーツも、とにかく出てくるものすべてが美味しそう! 笑
巻末にあるカフェのレシピは、「イチゴとほうれん草のサラダ」「トード・イン・ザ・ホール(人気卵料理)」などの全12品と、他の「コージーブックス」の本に比べて圧倒的に豊富です。
夫のいない自宅で愛犬と暮らすスザンヌも、疲れて帰宅した日は簡単な夕食といいつつ、手際よくおしゃれ料理を作って、ワインセラーのワインと共にひとりでも美味しく食べる、かっこいい暮らしぶり。
(尊敬~ 笑)
トニ主催の読書会や、ペトラ主催の編み物教室に加え、「英国風」アフタヌーンティーやブライダルシャワー(結婚前の花嫁と女友だちのパーティー)など、楽しいイベントもたくさんあります。
ミステリー要素は、前項2.でご紹介した『名探偵のコーヒーのいれ方』と同じく薄く、事件はいろいろと起こりますが、推理パートはありません。
主人公のスザンヌは、好奇心と正義感が強く無鉄砲で、冒険しているうちになんとなく事件が解決。
『名探偵のコーヒーのいれ方』同様、懐かしの2時間サスペンスファンにおすすめです。
ただしこちらは、主人公が痛い思いもするのでご注意を。
(命に別状はありませんし、それをきっかけにいいことも起こるのですが 笑)
キャラたちの恋愛要素はありますが、スザンヌに関しては恋の予感という程度。
まだ夫を亡くした悲しみから立ち直りつつあるところなので、仕方がないですよね。
とはいえ、終盤わくわくの展開もありますのでお楽しみに。
「コクと深みの名推理シリーズ」と同じく、こちらも旧ランダムハウス講談社文庫のロングセラー作品で、同社の倒産により、途中から出版社が変わっています。
現在第9巻(2021年発行)まで出版。
第4巻『あったかスープと雪の森の罠』(2014年)以降は、原書房コージーブックスとなっています。
\続編はこちら/
著者のローラ・チャイルズは、「お茶と探偵シリーズ」という超ロングセラー作品もある人気作家。
同シリーズは現在、第26巻『ハニー・ティーと沈黙の正体』まで発行。
第12巻『オーガニック・ティーと黒ひげの杯』以降は、こちらも原書房コージーブックスから出版されています。
\「お茶と探偵シリーズ」第1巻/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を。
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