「時計館の殺人」綾辻行人 ~「認識の土台」を粉砕される気持ちよさ~ ドラマ化第2弾も!【追記あり】

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「十角館」事件から3年たった、1989年7月
 東京の出版社に就職した江南孝明(かわみなみ たかあき)は、雑誌取材で鎌倉の「時計館」へ。

 目的は、「十角館」と同じく建築家・中村青司(なかむら せいじ)が設計した「時計館」の旧館で、交霊会を行うことでした。

 予定では、霊能者や大学のミステリー研究会メンバー、雑誌関係者の計9名で、旧館に3日間閉じこもるはずでしたが、密室のはずの旧館から美貌の霊能者が姿を消した上、殺人事件が。

 一方、江南の知人の推理作家・鹿谷門実(ししや かどみ)と、ミステリー研究会メンバーで取材を欠席した福西涼太(ふくにし りょうた)は、同じ頃「時計館」の新館を訪れていて――。

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■目次■

 

時計館の殺人アイキャッチ

「時計館の殺人」あらすじ

 1989年7月16日、東京の出版社で働く河南孝明は、世田谷にある推理作家・鹿谷門実のマンションを訪ねていました。

 

 河南が大学生だった1986年の3月に、大分県の角島で起きた「十角館」の事件で知り合った鹿谷とは、3年ぶりの再会になります。

 

 オカルト雑誌の新米編集者の江南は、「十角館」設計者の中村青司が鎌倉に建てた「時計館」の旧館での取材を予定していました。

 

 霊能者の光明寺美琴(こうみょうじ みこと)W**大学ミステリー研究会の学生たち副編集長カメラマンと共に、総勢9名で半地下の旧館に3日間とじこもり、交霊会を行うという企画です。

 

 鹿谷のマンションの隣室に光明寺が住んでいることもあり、江南は鹿谷を取材に誘いましたが、都合がつかず、2週間後の7月30日(日)に、予定通り9人で取材が始まりました。

 

 一方の鹿谷は、ミス研メンバーの福西涼太と共に、取材開始時刻から1時間ほど遅れて時計館の新館を訪れ、管理人の伊波紗世子(いなみ さよこ)に追い返されます。

 

 高い時計塔を持つ時計館では、10年前に当主の娘・永遠(とわ)が14歳で死んだあと、当主の古峨(こが)使用人など関係者が相次いで亡くなり、霊が出るという噂があります。

 

 当主の家族で唯一生き残った養子の由季弥(ゆきや)は16歳の少年ですが、永遠が亡くなってから精神のバランスを崩し、夫と娘を亡くした使用人の伊波が、彼の世話と屋敷の管理を行っていました。

 

 その夜、密室のはずの旧館から、霊能者の光明寺が姿を消します。

 管理人の伊波に立ち入りを禁じられていた「振子の部屋」も、何者かにより扉が開かれており、その後殺人事件が――。

「時計館の殺人」感想

密室の中と外との2拠点進行

 本作はシリーズ第1作の『十角館の殺人』と同様、

 密室である<旧館>パートと、外の世界パートとの、2部に分かれた構成になっています。

 

<旧館>の江南君たち9人が、「館もの」のお約束通りアレしていく一方(婉曲な表現 笑)、外は外で、鹿谷の活躍をはじめ様々なことが起こっています。

 

 その結果、

「このとき、旧館の中はこうなっていて・外はこうなっている」

 という関係が、徐々にわからなくなっていくんですよねー。

(まんまと綾辻先生の手のひらで踊らされる)

 

 とはいえ、外のパートの途中で、

 

「え、このタイミングって、

 旧館の中であんなことが起きてる最中では?!

 

 と、読みながらアワアワじたばたすることも 笑

 

 今回の館は、密室とはいえ、

 外部とは廊下+扉2枚で隔てられているだけ

 

 なので、関係者が廊下の向こう側にある新館をうろうろするたびに、

 

「ちょっとみんなー! 

 今、旧館の中は、あんなことになってるんだよー!」

 

「のんびりしてないで、

 ちょっとその扉を! 開いてみて!!

 

(助けて鹿谷せんせー!)

 

 と、やきもき 笑

(手のひらダンスふたたび)

 

 なお、旧館内と外の世界で起きたそれぞれの出来事は、

 下巻p308~317で時系列順の一覧表にされています。

 

 さらに、途中で記憶があやふやになっても、謎解きパートできっちり説明されるのでご安心を。

 

 とはいえ、ざっくりでも時間の経過を把握して読む方が、前述のハラハラ感を味わえるのでおすすめです 笑

 

 そういえば、今回なんと、

 外の世界まで一時的に密室になるんですよ!

 

 綾辻先生も読者も、密室が好きすぎますよね 笑

納得の犯行動機

 今回、これまでの館シリーズの中で一番、犯人の動機に納得しました。

 

 うんうん、そりゃーやっちゃうよねえ。(殺人ダメ絶対)

 

 当初のターゲット以外は手にかけたくなかった(が、都合によりやむをえず)

 という犯人のコメントにも、深く納得。

 

 ……でも、そもそも犯人が保身に走らなければ、

 つまり、

 逮捕されないように小細工しなければ、

 被害者はターゲットだけで済んだはずですよね。

(殺人ダメ絶対)

 

 その場合、この物語は成立しないというか、割とすぐに犯人は明らかになったでしょうけれども。

 

 目的さえ遂げられれば、それでもよかったのでは?

 

 動機と関係ない被害者を生み出しちゃったら、やっぱアウトだよなー。

 

 前言撤回、やっぱ共感できないわ犯人。

(ていうか殺人ダメ絶対)

だまされて爽快!なメイントリック

 世の中、様々なトリックがありますが、

 推理のベースとなる「認識」そのものを揺らがすという、この作品のメイントリックほどダイナミックなものは、そうそうない! と思います。

 

(見た目でわかる規模だけなら、シリーズ続編の『黒猫館』もなかなかですが、それでもインパクトは本作の方が大きいかも 笑)

 

 

 わたしにとって、あの有名な

『十角館』の “衝撃の一行” は、

 

「……あら?」

 

 っていう、

 たとえていうなら、

 

 優雅な関節はずし、もしくは膝カックン

 

 でした。

 

(読んだ直後、ちょっと何いってるかわからなかったので 笑)

 

 他方、こちら

 

『時計館』の “衝撃の一行”

 

 はといえば。

 

(個人的に、p302のあの一行が決めゼリフだと思っています)

 

 常識や生活の土台になっているアレを、

 一言で木っ端みじんにするという、

 

  • めまいがするようなスケールの大きさ

 

  • こんな騙され方とは思ってもみなかったぜ!という爽快感
 
 に、もってかれましたね……!

 

 未読の方にもぜひ、この、

 

 無意識に依存していた認識の基盤を、一気に粉砕される気持ちよさ

 

 を、味わっていただきたいです✨

圧巻のカタストロフィー

 終盤の、あのシーンも、本作のチャームポイント。

 

 初めて読んだときは(われながら独特なたとえかもですが)、

 

「(アニメの)ルパン三世みたい」

 

 と思ったんですよね。

 

 あの

 躍動感

 っていうか、

 

 え、嘘、やっちゃうの? 

 からの、

 やっちゃった! 

 って感じが……。

 

(ジブリや劇場版コナンの方が伝わるかも?)

 

 再読では、さすがにそのときのショックは味わえませんでしたが、その分(?)、

 

「きれいだなあ」

 

 と、うっとりしました。

 

 読者が映像で見たいシーンNo.1ですよね! きっと。

(ドラマ化でわくわく♪)

 

 とはいえ、ここ、リアルならまあ死んじゃうだろうなっていう、とんでもないシーンでもあります。

 

 作中で

「前もって云っておいてくれたら」 

 と、あの彼もいってた通り、

 ほんと、早めにいっといてほしいところではありますよね! 笑

「館」が効いてる! これしかないタイトル

 今回のタイトル、

 シリーズで一番作品の内容と合ってると思います。

 

 たとえば、『十角館の殺人』の「十角館」は、正直、

 十一角館でも十二角館でもよかった

(ぼうげん 笑)

 

「水車館」や「人形館」も、「迷路館」だってまあ、お話の内容とはとても合っているけれど、これしかないかといわれたら、考える余地はある。

 

 けど、

「時計館」は絶対! 「時計館」

 なので。

 

(ネタバレ防止にふんわり書いております)

換気……

 いきなりですが、わたし、閉所恐怖症の気があるようなのです。

 あと、スギ花粉症で、ホラーが苦手。

(とはいえ、交霊会のシーンは大丈夫でした。同じ怖がりさんたちもご安心を)

 

 ……そんな人間がこの作品を読むと、どうなるかといいますと。

 

<旧館>パートが、

 

 息苦しいし、ほこりっぽい! 笑

 

(何年も人が住んでない

  • ほこりっぽい床で、
  • ほこりっぽい毛布にくるまって、
  • お酒飲んだあとシャワーも浴びずに寝るとか。

 絶対過去のスギ花粉付いてる!)

 

 あと、

 

 眠い!

(これはやむなし)

 

 換気して~!

(むり)

 

 そういえば「館シリーズ」に出てくる人たちって、

  • 昼夜逆転しがちで、
  • コーヒー飲みすぎ
  • 密室なのにタバコ吸いすぎ
  • 何日もお風呂入らなくても平気

 ですよね。

 

 そういう時代だったんでしょうね~。

不憫すぎる江南君

 1986年3月の「十角館の殺人」事件から、

 3年ちょっとぶりに登場の江南君

 

 彼は案外メンタル強者だったようで、事件で負った心の傷は残っているものの、医療のお世話にもならず元気に暮らしていました。

 

 そんな彼が、なんの因果か

 ふたたび「館」事件に巻き込まれ、

 しかも、

 前回とは違って、密室側で過ごすことになる。

 

 なんで彼ばかりこんな目に。

 かわいそすぎる……。

 

 はっ。

 もしかしてこれは、米花町のあの国民的小学生の名前と、名字の音読みが同じだから?

 

(「旅行先で○ナン君か○田一君に会ったら、その旅は絶望」と聞きますし…… 笑)

サプライズ失敗的な、やりすぎ・残念あるある話……

 大切な誰かを喜ばせようと、男性が独断でなにか大がかりなことをやり、大いに外す(=大切な誰か、全然喜ばない)

 

 っていうの、本作に限らず、

 割とよく聞く残念な話

 ではありますが。

 

(ネタバレ防止にふわっと書いております)

 

 いやー、残念。

 やった側の気持ちも、やられた側の気持ちも、想像できるだけにつらい……!

 

 もー、○○! 

 

 聞けよ!

 どうしてほしいか、本人に! 

 勝手に決めつけずに!

 

(ひどすぎるわ、あのはずし方!)

(あとその影響!)

 

 と、本作を読みながら、二次元のキャラにマジ切れしたことを、ここに告白します。

(お恥ずかしい 笑)

シリーズ最高傑作!「十角館」から続けて読むのもあり!(個人の感想です)

 この『時計館の殺人』、人気・知名度ではシリーズ第1作の『十角館の殺人』に負けていますが、ミステリーとしては上回っていると思います。

(もちろん個人の感想です)

 

 というわけで、

 どこかでネタバレをくらう前に、さっさと読むべし

 

 とはいえ、本作はシリーズ第5作。

 

 前4冊をすべて読んでからというのは、ちょっとハードルが高い。

 

 という方は、もう、

 第1作の「十角館」を読んだら、すぐ本作に来ちゃってもいいのでは

 

 \第1作『十角館の殺人』はこちら/

 

  \マンガもあります/

 

 ただ、それをやると、

 シリーズ第3作『迷路館の殺人』の楽しみが、ちょっと減ってしまうんですよね。

 

 とはいえ、それでもしっかり楽しめる、

 よくできた作品なんですよ、「迷路館」って

 

 というのも、わたし自身、初読は『十角館』→『時計館』→『迷路館』という順番になりまして。

 

『迷路館』のあの部分は、

「え?どういうこと?」

 と、非常に不思議だったのです。

 

(そしてラストで、

「ああ、そういうこと!」

 ってなって、めっちゃにこにこしましたよねー 笑)

 

 \「迷路館」はこちらでチェック/ 

 

 というわけで、シリーズ4冊読むのは大変だからと読まないよりは、

 途中をスキップしてでも読んだ方が絶対いいです! この「時計館」

 

 そもそも、本シリーズの作品はどれも、単独で読んでも(既刊のネタバレとか小ネタがわからないという問題はあれど)支障なく楽しめる、独立したつくりですしね。

 

 できればそのあと、『水車館』『迷路館』『人形館』も読んで、

「あのときのアレはコレか~」

 とニヤニヤできたら、なおよしです 笑

回収されまくる伏線

 プロローグが長いのも、本作の特徴。

 

 エピローグの方は、そこまでのボリュームはありません。

 が、のんびりしているようで、

 よく読むと情報がぎっしりです。

 

 どうぞ、最後までお見逃しなく。

 

 わたしはカップ麺の話に、くすっとさせられました。

(あと、ちょっと前に流行った某コマーシャルも思い出しました)

 

 こういう、

 陰惨な物語なのにちょっとかわいらしい感じのエピソードが入るところも、「館シリーズ」の魅力ですよねえ。

【追記あり】「時計館の殺人」映像化(Huluにてシリーズドラマ化第2弾)

 昨年(2024年)3月、「館シリーズ」第1作『十角館の殺人』をオリジナル実写ドラマ化したHulu。

 

 このたび第2弾として、以下の日程で、この『時計館の殺人』のドラマを独占配信することが発表されました!

 

  • 2026年2月27日(金):第1話~第6話

 

  • 同3月20日(金):第7話・最終(第8)話

 

 現在、内方監督をはじめ前作と同じスタッフ・キャストで制作中とのこと。

 公式ページでは、鹿谷役の青木崇高さん江南役の奥智哉さんの対談が視聴できます。

 

 そのトリックから映像化不可能といわれた『十角館の殺人』

 対して、この『時計館の殺人』の1番のハードルは、予算(あと、美術・装飾も)だそうです 笑

 

 \ドラマ化第1弾・「衝撃の一行」の映像化に注目!/

 /2025年10月発売\

 

  \同作の紹介記事はこちら/

 

 \まさかの実写化ならこちらも/ 

「時計館の殺人」こんな方におすすめ

 すべてのミステリーファン✨に、読んでいただきたい、スケールの大きな名作です!

 

 なかでも、

 

  • 館シリーズ読者
  • 本格推理好きさん
  • 綾辻行人ファン

 

 には、外せない作品のはず。

 

 さらに、

 

  • オカルト好きさん
  • 時刻表ミステリー好きさん

 

 そして

 

  • 折り紙好きさん
 
 にもおすすめの作品です。
 
(読めばわかります! 笑)
 

 

 

 \聴いてみたい方はこちら♪/

 

/30日間無料体験あります\
 
 \オーディブルに興味のある方は、まずはこちらを/

 
 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
 
 
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