「時計館の殺人」綾辻行人 ~「認識の土台」を粉砕される気持ちよさ~ ドラマ化第2弾!

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「十角館」事件から3年たった1989年7月、東京の出版社に就職した江南孝明(かわみなみ たかあき)は、雑誌取材で鎌倉の「時計館」へ。

目的は、「十角館」と同じく建築家・中村青司(なかむら せいじ)が設計した「時計館」の旧館で、交霊会を行うことでした。

霊能者や大学のミステリー研究会メンバー、雑誌関係者の計9名で、旧館に3日間閉じこもる予定でしたが、密室のはずの旧館から美貌の霊能者が姿を消し、さらには殺人も。

一方、江南の知人の推理作家・鹿谷門実(ししや かどみ)と、ミステリー研究会メンバーで取材を欠席した福西涼太(ふくにし りょうた)は、同じ頃「時計館」の新館を訪れ――。

1991年発表のシリーズ第5作、ドラマ化決定!
第45回日本推理作家協会賞受賞作です。
 
 \新装改訂版2012年発行/ 

 

 

 \河南君が登場するシリーズ第1作/

 
 \シリーズ第2・3・4作はこちら/

 
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■目次■

 

時計館の殺人アイキャッチ

「時計館の殺人」あらすじ

 1989年7月16日、東京の出版社で働く河南孝明は、世田谷にある推理作家・鹿谷門実のマンションを訪ねていました。

 

 大学生だった1986年の3月、大分県の角島で起きた「十角館」の事件をきっかけに知り合った鹿谷とは、3年ぶりの再会です。

 

 オカルト雑誌の新米編集者である江南は、「十角館」設計者の中村青司が鎌倉に建てた「時計館」の旧館での取材を予定していました。

 

 江南に加えて、霊能者の光明寺美琴(こうみょうじ みこと)W**大学ミステリー研究会の学生副編集長カメラマンの総勢9名で、半地下になった旧館に3日間とじこもり、交霊会を行うという企画です。

 

 偶然、鹿谷のマンションの隣室に光明寺が住んでいることが判明したこともあり、江南は鹿谷を取材に誘いますが、残念ながら都合がつかず、2週間後の7月30日(日)に、予定通り9人で取材が始まりました。

 

 一方の鹿谷は、ミステリー研究会メンバーの福西涼太と共に、取材開始時刻から1時間ほど遅れて時計館の新館を訪れますが、管理人の伊波紗世子(いなみ さよこ)に追い返されます。

 

 高い時計塔を持つ時計館では、10年前に当主の娘・永遠(とわ)が14歳で死んだあと、当主の古峨(こが)や使用人など関係者が相次いで亡くなり、霊が出るという噂が。

 

 当主の家族で唯一生き残った養子の由季弥(ゆきや)は16歳の少年ですが、永遠が亡くなってから精神のバランスを崩し、夫と娘を亡くした使用人の伊波が、彼の世話と屋敷の管理を行っていました。

 

 その夜、密室のはずの旧館から、霊能者の光明寺が姿を消します。

 管理人の伊波に立ち入りを禁じられていた「振子の部屋」も、何者かにより扉が開かれており、その後殺人が――。

「時計館の殺人」感想

密室の中と外との2拠点進行

 本作はシリーズ第1作の『十角館の殺人』と同様、密室である<旧館>パートと、外の世界パートの、2部に分かれた構成になっています。

 

<旧館>の江南君たち9人が、「館もの」のお約束通りアレしていく一方(婉曲な表現 笑)、外は外で、鹿谷の活躍をはじめ様々なことが起こっています。

 

 その結果、徐々に、

「このとき、旧館の中はこうなってて、外ではこんなことが」

 という関係がわかりにくくなっていくんですよねー。

(まんまと綾辻先生の手のひらで踊らされる)

 

 とはいえ、外のパートの途中で、

 

「え、このタイミングって、旧館の中であんなことが起きてる最中では?!

 

 と、アワアワじたばたすることも。

 

 今回の館は、密室とはいえ、外部とは廊下+扉2枚で隔てられているだけ

 

 なので、関係者が廊下の向こう側にある新館をうろうろするたびに、

 

「ちょっとみんなー! 今、旧館の中ではあんなことになってるんだよー!」

 

「のんびりしてないで、ちょっとその扉を! 開いてみて!!」

 

(助けて鹿谷せんせー!)

 

 と、やきもきさせられます 笑

(手のひらダンスふたたび)

 

 なお、旧館内と外の世界で起きたそれぞれの出来事は、下巻p308~317で時系列順の一覧表にされています。

(さらに、途中で記憶があやふやになっても、謎解きパートできっちり説明されるのでご安心を)

 

 とはいえ、それぞれの時間の経過を把握して読んだ方が、前述のハラハラ感を味わえます 笑

 

 そういえば、今回なんと、

 外の世界まで一時的に密室になるんですよ!

 

(綾辻先生も読者も、密室が好きすぎる 笑)

納得の犯行動機

 今回、これまでの館シリーズの中で一番、犯人の動機に納得しました。

 うんうん、そりゃーやっちゃうよねえ。(殺人ダメ絶対)

 

 当初のターゲット以外は手にかけたくなかった(けれど、都合によりやむをえず)という犯人のコメントにも、深く納得。

 

 でも、もっと考えると、

 そもそも犯人が保身に走らなければ、

 つまり、逮捕されないように小細工しなければ、

 被害者はターゲットだけで済んだはずなんですよね。

(殺人ダメ絶対)

 

 その場合、この物語は成立しないというか、割とすぐに犯人は明らかになったでしょうけれども。

 とはいえ、目的さえ遂げられれば、別にそれでもよかったのでは?

 

 動機と関係ない被害者を生み出しちゃったら、それはもう完全アウトでしょうよ。

 前言撤回、やっぱ共感できないわー犯人。

(ていうか殺人ダメ絶対)

だまされて爽快!なメイントリック

 世の中、様々なトリックがありますが、推理のベースとなる「認識」そのものを揺らがすという、この作品のメイントリックほどダイナミックなものは、そうそうない!と思います。

 

(見た目でわかる規模だけなら、シリーズ続編の『黒猫館』もなかなかですが、それでもインパクトは本作の方が大きいかも 笑)

 

 わたしにとって、あの有名な

『十角館』の “衝撃の一行” は、

 

「……あら?」

 

 っていう、たとえていうなら

 優雅な関節はずし、もしくは膝カックンでした。

 

(読んだ直後、ちょっと何いってるかわからなかったので 笑)

 

 他方、この

『時計館』の “衝撃の一行”

(個人的に、p302のあの一行が決めゼリフだと思っています)

 はといえば。

 

 常識や生活の土台になっているアレを、一言で木っ端みじんにする、

 

  • めまいがするようなスケールの大きさ

 

  • こんな騙され方とは思ってもみなかったぜ!という爽快感
 
 に、もってかれましたね……!

 

 未読の方にもぜひこの、

 無意識に依存していた認識の基盤を一気に粉砕される気持ちよさ

 を味わっていただきたいです。

圧巻のカタストロフィー

 終盤のあるシーンも、本作のチャームポイント。

 初めて読んだときは、「(アニメの)ルパン三世みたい」と思ったものでした。

 ほらあの、躍動感というか、

 やっちゃうの?からの、やっちゃった!感というか。

 

(っていわれても、未読の方には伝わりませんね…… 笑)

(あと、若い読者の方は、ジブリ映画や劇場版コナンをイメージするのかも 笑)

 

 今回再読にあたっては、さすがに初読のときのショックは味わえませんでしたが、

「きれいだなあ」

 とうっとり。

 読者が映像で見たいシーンNo.1だと思います。

 

 とはいえ、リアルならまあ死んでるはずの、とんでもないシーンでもあり。

 作中で

「前もって云っておいてくれたら」 

 とあの彼もいってた通り、

 ほんと、早めにいっといてほしいところではありますよね 笑

「館」が効いてる! これしかないタイトル

 今回、タイトル(≒館の名前)と作品の内容も、シリーズで一番合っていたと思います。

 

「十角館」は、正直、十一角館でも十二角館でもよかった。(ぼうげん)

 

「水車館」や「人形館」も、「迷路館」だってまあ、お話の内容と非常に合っているけれど、これしかないかといわれると考える余地はある。

 

 けど、

「時計館」は絶対! 「時計館」

 なので。

 

(ネタバレ防止にふんわり書いております)

換気……

 今さらですが、実はわたし、軽い閉所恐怖症の気があるようで。

 あと、スギ花粉症もあり(これは軽くはない)、さらに、怖がりなのでホラーは苦手。

(とはいえ、交霊会のシーンは大丈夫でしたので、同じ怖がりさんたちもご安心を)

 

 ……そんな人間がこの作品を読むと、どうなるかといいますと。

 

<旧館>パートが、

 息苦しい!

 ほこりっぽい!

 

(何年も人が住んでないほこりっぽい床で、ほこりっぽい毛布にくるまって、お酒飲んだあとシャワーも浴びずに寝るとか! 絶対スギ花粉付いてる!)

 

 あと、

 眠い!

(これはやむなし)

 

 密室だけど、

 誰か、せめて換気して~!

 

 そういえば「館シリーズ」に出てくる人たちって、

  • 昼夜逆転しがちで、
  • コーヒー飲みすぎ
  • 密室なのにタバコ吸いすぎ
  • 何日もお風呂入らなくても平気

 ですよね。

 

 そういう時代だったんでしょうねえ。

 

(ついでに、閉じ込められて育った少女が若い花嫁に、っていうのも時代を感じます)

不憫すぎる江南君

 1986年3月の「十角館の殺人」事件から、3年ちょっとぶりに登場の江南君

 

 彼は案外メンタル強者だったようで、事件で負った心の傷は残っているものの、医療のお世話にもならず元気に暮らしていました。

 

 そんな彼が、なんの因果か

 ふたたび「館」事件に巻き込まれ、

 しかも

 前回とは違って密室側で過ごすことになるんですよねー。

 

 なんで彼ばかりこんな目に。

 かわいそすぎる……。

 

 はっ。

 もしかしてこれは、米花町のあの国民的小学生の名前と、名字の音読みが同じだから?

 

(「旅行先で○ナン君か○田一君に会ったら、その旅は絶望」といわれますし 笑)

サプライズ失敗的な、やりすぎ・残念あるある話……

 大切な誰かを喜ばせようと、男性が独断でなにか大がかりなことをやり、大いに外す

(結果、大切な誰か、全然喜ばない)

 

 っていうの、本作に限らず、

 割とよく聞く残念な話

 ではありますが。

 

(ネタバレ防止にふわっと書いております)

 

 いやー、残念。

 やった側の気持ちも、やられた側の気持ちも、想像できるだけにつらい……!

 

 もー、○○! 

 聞けよ!

 どうしてほしいか、本人に! 

 勝手に決めつけずに!

 

(ひどすぎるわ、あのはずし方!)(あとその影響!)

 

 と、本作を読みながら、二次元のキャラにマジ切れしたことをここに告白します。

(お恥ずかしい 笑)

シリーズ最高傑作!「十角館」から続けて読むのもあり!(個人の感想です)

 この『時計館の殺人』、人気・知名度ではシリーズ第1作の『十角館の殺人』に負けていますが、ミステリーとしては上回っていると思います。

(好みもありますが)

 

 というわけで、

 どこかでネタバレをくらう前に、さっさと読むべし

 

 とはいえ、本作はシリーズ第5作。

 前4冊をすべて読んでからというのは、ちょっとハードルが高い。

 

 という方は、もう、

 第1作の「十角館」を読んだら、すぐ本作に来ちゃってもいいのでは

 

 ただ、これをやると、シリーズ第3作『迷路館の殺人』の楽しみがちょっと減ってしまいます。

 とはいえ、それでもしっかり楽しめる、よくできた作品なんですよ、「迷路館」って

 

 というのも、わたし自身、初読は『十角館』→『時計館』→『迷路館』という順番になりまして。

 

 それでも『迷路館』のあの部分は、

「え?どういうこと?」

 と、非常に不思議だったのです。

 

(そしてラストで、

「ああ、そういうこと!」

 ってなって、にこにこしましたよねー 笑)

 

 \「迷路館」はこちらでチェック/ 

 

 というわけで、4冊読むのが大変だからと読まないよりは、途中をスキップしてでも読んだ方が絶対いいです、この「時計館」

 

 そもそも、本シリーズの作品はどれも、単独で読んでも(既刊のネタバレとか小ネタがわからないという問題はあれど)支障なく楽しめる、独立したつくりですしね。

 

 できればそのあと、『水車館』『迷路館』『人形館』も読んで、

「あのときのアレはコレか~」

 とニヤニヤできたら、なおよしです 笑

回収されまくる伏線

 プロローグが長いのも本作の特徴。

 エピローグの方はそこまでのボリュームはありませんが、のんびりしているようで、よく読むと情報がぎっしりです。

 

 どうぞ、最後までお見逃しなく。

 

 わたしはカップ麺の話に、くすっとさせられました。

(あと、ちょっと前に流行ったアニメ映画がらみのコマーシャルも思い出しました)

 

 こういう、ちょっとかわいらしい感じのエピソードが入るところも、「館シリーズ」の魅力ですよねえ。

「時計館の殺人」映像化(Huluにてシリーズドラマ化第2弾)

 昨年(2024年)3月に『十角館の殺人』をオリジナル実写ドラマ化したHulu。

 

 このたび第2弾として、

 2026年2月に、この『時計館の殺人』のドラマを独占配信することが発表されました!

 

 現在、内方監督をはじめ前作と同じスタッフ・キャストで、制作中とのこと。

 公式ページでは、鹿谷役の青木崇高さん江南訳の奥智哉さんの対談が視聴できます。

 

 トリックの面で映像化不可能といわれた『十角館の殺人』

 それに対して、この『時計館の殺人』のハードルは、予算(あと、美術・装飾)だそうです 笑

 

 \ドラマ化第1弾!大好評「十角館の殺人」/

 /2025年10月発売\

 

  \同作の紹介記事はこちら/

 

 \まさかの実写化ならこちらも/ 

「時計館の殺人」こんな方におすすめ

 すべてのミステリーファン✨に、読んでいただきたい名作です!

 

 なかでも、

 

  • 館シリーズの読者
  • 本格推理好きさん
  • 綾辻行人ファン

 

 には、外せない作品のはず。

 

 さらに、

 

  • オカルト好きさん
  • 時刻表ミステリー好きさん
  • 折り紙好きさん
 
 にもおすすめの作品です。
(読めばわかります 笑)
 
 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
 
 
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