୨୧・2025年、みなさまのご多幸をお祈り申し上げます・୨୧
「黒蜥蜴」作者・江戸川乱歩はすごい人でした(語彙)
「日本のミステリーの父」江戸川乱歩
『黒蜥蜴』の作者・江戸川乱歩って、一般的にはどのようなイメージなのでしょうか。
わたしの場合は
①「怪人二十面相」、「名探偵明智小五郎」、「少年探偵団」、エロ・グロ・ナンセンス
⇒著作から
②ポーが好きすぎる人
⇒ペンネームがエドガー・アラン・ポーのもじりだから
(なかなかしませんよねえ、そこまで)
ポーの紹介記事はこちら ↑
③乱歩賞
⇒受賞作に重厚・濃厚なものが多いのと、賞金1000万円(!)で知っていた江戸川乱歩賞。
(でも今調べたら、第68回から賞金は500万円になっていました)
賞の対象は、有力な新人だそうです。
④横溝正史と仲良し
⇒同時期に活動した「金田一耕助」シリーズ作者の横溝正史と親交が深かったとか
……といったところでした。
そこで、ちょっと検索してみたところ。
乱歩って、執筆以外の主なところだけでも、
⭐1947年、日本探偵作家クラブ(現・一般社団法人日本推理作家協会)を創立し、初代会長・社団法人化後の初代理事長となる。
⭐1954年、自らの還暦祝いの席で、日本探偵作家クラブに100万円を寄付することを発表、それを元に乱歩賞が創設される。
⭐内外の推理作家と交流し、エラリー・クイーンとは文通。(え、どっちと? 笑)
⭐探偵小説誌『宝石』の編集・経営
⭐SF作家の筒井康隆・星新一などを見出す
⭐乱歩に師事していた山田風太郎は、著作で乱歩について、「大乱歩」と「大」を冠されるにふさわしい存在と書いているらしい。
……てな具合で、すごいし業界に超貢献してる!
「すごい!」と「ありがとう!」しか出てこないくらいの、偉大な功労者だったんですねー(驚)
当時の100万円って、今のいくら相当なのかな。
ほんと、ありがとう乱歩~。( なれなれしいなオイ)
主な著作と生没年
・1894年三重県生まれ(クリスティーの4歳下)
名古屋などに転居を重ね、池袋の立教大学の隣にある屋敷で、亡くなるまでの31年間暮らす。
・1923年 『二銭銅貨』でデビュー(雑誌『新青年』)
・1925年 『D坂の殺人事件』:明智小五郎登場
・1928年 『陰獣』:「変態性欲」が題材、らしい……。
(年明け早々わたしはいったい何を書いているのでしょうか 笑)
当時編集者だった横溝正史が絶賛、読者に大人気。
・1934年 『黒蜥蜴』
・1936年 『怪人二十面相』:子ども向け雑誌『少年倶楽部』で連載、大人気
・1939年 戦争の影響で検閲が激化し、『芋虫』が発禁に
・1951年 探偵小説に関する評論『幻影城』発表
・1965年 70歳で亡くなる。戒名は智勝院幻城乱歩居士。(やだかっこいい!)
作品は、推理小説のみならず、怪奇・幻想・官能小説にも多大な影響を及ぼしたそうです。
小説「黒蜥蜴」とは:明智小五郎・舞台化・THE 乱歩の世界
1934年に発表されたこの作品は、名探偵・明智小五郎シリーズの一作。
文庫本で202ページとコンパクトですが、きっとこの本、乱歩の好きなものをぎっしり詰め込んだんだね……、っていうのが読んでいて伝わってくる、趣味全開な作品です。
書いてるとき楽しかっただろうなー乱歩 笑
クセも圧もめっちゃ強い 笑 、ゴージャスで妖しく美しく、些末なことは気にしない、THE 乱歩の世界。
巻末の東雅夫による解説では、
「大乱歩の名を満天下に轟かせた通俗スリラー長編の集大成ともいうべき趣向満載の逸品」
と紹介されています。
(関係ないけど、「乱歩」とは呼ぶけど「江戸川」とは呼ばないのって、どういう感じに決まるんでしょうね。
「芥川」とはいうけど「龍之介」とはいわない、「一葉」とはいうけど「樋口」とはいわない、みたいな 笑)
(いまや、「江戸川」といったらコナン君……)
これまでに何度も舞台化されている、大人気作。
三島由紀夫が戯曲化して美輪明宏(当時は丸山明宏)が黒蜥蜴役となった舞台が有名です。
近年でも、美輪明宏(2003年)や河合雪之丞(2017年)、中谷美紀(2018年)など、たくさんの俳優が様々な趣向で黒蜥蜴を演じています。
「黒蜥蜴」あらすじ
「黒蜥蜴」感想
読み終わってから気づいたのですが、この作品、探偵ではなく黒蜥蜴寄り(の三人称)で書かれています。
しかも、ドラマ「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」のような、読者に犯人がわかっている倒叙ミステリーのスタイル。
そのため、いつのまにか黒蜥蜴が明智小五郎から逃げ切ることを期待してしまい、ハラハラどきどきでした。
(ちょっと黒蜥蜴ー、トランプなんかしてないでさっさと逃げなよー、みたいな 笑)
前述の通りページ数はそれほどないところへ、派手なエピソードが大渋滞で、ぐいぐい引っ張られ、読まされます。
たとえ、作者・乱歩の、とある別作品が前面に出ちゃっていても!
そのせいで、トリックがバレバレでも!
つい読んでしまうんですよねー 笑
変装についても、最初のケースでは「よく見るとここが違う」と細かく説明されていたのが、途中からは一切説明なし。
そこはもうお約束 笑 みたいな感じで、とにかく話が進んでいくのです。
だからこそ、ラストは正直、もっと夢を見させてほしかった気が。
そういうのが求められるのはまあ、わかるといえばわかるんだけど。
小さくまとめないで、逆に、そこはもっとこう、えいっと広げちゃってもよかったんじゃないかなーって……。
あと、「宝石踊り」と、そのあとの胴上げ・お神輿は要審議です。(まがお)
踊りはまだいいにせよ、あの状態からの、胴上げ・お神輿はよくない!
たとえ黒蜥蜴はOKでも、読んでるこっちはよくない!(まがお)
まあ、そういうのが求められるのもわかるんですけどー。(2回目)
そこは文字通り、見ることはできても触れることのできない、女王様でいてほしかった。
も~、そういうとこだぞ乱歩~。
もっと!「黒蜥蜴」を楽しむ方法
このお話をさらに楽しむには、
できれば、聴いていただきたい!のです。
前述の通り、何度も舞台化されてるんですよ、『黒蜥蜴』
解説によればその理由は、
・黒蜥蜴の強烈な個性と卓越した魅力
・「絢爛豪奢(けんらんごうしゃ)」な歌舞伎の世界の系譜で、「演劇的興趣とケレンの醍醐味」にあふれた作品だから
だそう。
なにせ、一行目が
この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イブの出来事だ。
ですからねー。
こんな雰囲気あるお話、
耳から入れたら、うっとりするに決まってるじゃないですか……。
ナレーターは新居祐一さん。
よく響く、低音のイケボです!
(上のリンクから視聴できますので、お試しを)
無料体験もありますので、既読のみなさまも、ぜひご一緒に。
お気軽に、『黒蜥蜴』の世界を楽しんでみてください♪
「黒蜥蜴」こんな方におすすめ
・乱歩の描く、あやしい世界が気になる方
・舞台を見る前に、原作もおさえておこうかなという方
・峰不二子とかキャッツアイとか黒革の手帳とか、魅力的な悪女ものがお好きな方
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、今年も楽しい物語体験を♪