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「龍は眠る」宮部みゆき:青春超能力ミステリー・マンガやドラマにもなった日本推理作家協会賞作品

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龍は眠るアイキャッチ

 

「超常能力者(サイキック)って言葉を聞いたことがありますか?」

「私」こと雑誌記者・高坂の出会った、16歳の慎司と20歳の直也。

 自らの力に悩む彼らは、やがて「私」の巻き込まれた事件に関わることとなり――。

 1991年出版、第45回日本推理作家協会賞長編部門受賞作品。
 
 
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 ※当ブログの宮部みゆき作品記事一覧はこちら

「龍は眠る」あらすじ

 9月23日の夜、大型の台風による暴風雨の中で車を運転していた高坂は、千葉県の佐倉で慎司という男子高校生を拾います。

 東京に戻る途中だった雑誌記者の高坂は、自転車がパンクしたという慎二を彼の自宅まで送ることにしましたが、その途中、ふたがずらされて落とし穴状態になった危険なマンホールを発見。
 
 豪雨で下水の水位の上がったマンホールに誰かが落ちたら、助かるとは思えません。
 
 そこへ、小さな息子を探しているという男性が現れます。
 
 警察や水道局と共に子どもを探して一夜を過ごした翌朝、様子のおかしい慎司を疑う高坂に向かって、16歳の慎司は信じられないようなことをいいだし――。

「龍は眠る」感想

ふたりの少年が主役の青春超能力ミステリー

 本作は、若者たちの繊細な心理が描かれた青春ミステリーです。

 今回久しぶりに再読して、文章の瑞々しさに驚きました。

 

 物語は語り手の雑誌記者・高坂昭吾(こうさかしょうご)の視点で進みますが、彼によれば、

 

(自分は)「この物語の主人公ではない」

「主役となるのは、二人の少年――青年期にさしかかったばかりの少年たち」

 

 とのこと。

 

 そのふたりとは、

  • 高校1年生の稲村慎司(いなむらしんじ)

  と

  • その友人で20歳の織田直也(おだなおや)

 です。

 

 ふたりの置かれた状況が厚く書き込まれているため、超能力者という現実離れした設定ながら、本作はリアリティーのある物語となっています。

 

 心理描写が細かい分、展開は遅くなりますが、読者はふたりの心情に共感しながら、作品世界に引き込まれていきます。

語り手はキャラ薄め

 慎司と直也が丁寧に描かれているのとは対照的に、主人公の高坂=「私」のキャラはよくも悪くも薄め。
 
 仕事や同僚との関係では心温まるエピソードがありますが、本人の内面描写は薄く、アラサー独身男性としてはあっさりしすぎというか、慎司と直也に比べるとあまり存在感がありません。
 
 それを一番感じたのが、「私」が彼自身のとある特性を知ったときの受け止め方でした。
 
 これはかなりショッキングな内容なのですが、にもかかわらず、本人の反応が薄いんですよねー。
 周囲の反応は描かれているし、本人のプライドが傷ついたこともわかるのですが、生き物としての本質的なショックは伝わってこない。
 
 ただ、それを描写するとなると、それだけで長編1本分(以上)になる大きなテーマなので、物語の本筋のじゃまにならないようさらっと収めたのかもしれません。

「龍」とは

 タイトルの眠る「龍」とは、第一には、慎司や直也の身体の中で目覚めた超能力のこと。
 
 ただ、それだけではなく、才能・衝動・愛情・執着など、どうしようもなく人を動かすもの全般を指すように感じました。
 
 以下は、p498にある、とある人物のセリフです。
 
「(前略)ことによると、我々は本当に、自分のなかに一頭の龍を飼っているのかもしれません。底知れない力を秘めた、不可思議な姿の龍をね。(後略)」
 
「我々にできることは、その龍を信じて、願うことぐらいじゃないですかね。どうか私を守ってください。正しく生き延びることができるように。この身に恐ろしい災いがふりかかってきませんように、と。そして、ひとたびその龍が動きだしたなら、あとは振り落とされないようにしがみついているのが精一杯で、乗りこなすことなど所詮(しょせん)不可能なのかもしれない。なるようにしかならんのです」

ミステリー+超能力

 ミステリーとしては、冒頭のつかみはうまいものの、あっさりしたつくり。
 
 後半出てくる大きな事件で、超能力をHowに絡めるのが面白かったです。
 
 超能力を使うといっても、そこまでの描写によって説得力が生まれているため、荒唐無稽な印象はなく楽しめました。
 

 

※宮部みゆきの超能力もの小説なら、こんな作品も

 

 

 

 

※YOASOBIとのコラボ『色違いのトランプ』

 

 \こちらでご紹介しました/

「龍は眠る」作者・宮部みゆき(豆知識つき)

 作者の宮部みゆきは、1987年に『我らが隣人の犯罪』でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。

 

  • 1991年、時代物ミステリー『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞
  • 1993年、社会派ミステリー『火車』で山本周五郎賞
  • 1997年、『蒲生邸事件』で日本SF大賞

 をそれぞれ受賞するなど、様々なジャンルの優れた作品を発表し、

 

  • 1999年にはドキュメンタリー調の『理由』で直木賞

 を受賞しています。

 

(他にも、サスペンスや日常の謎もの、中学生たちが主役の法廷風ミステリー、テレビゲームをモティーフにした作品など、たいへん多彩な作品をコンスタントに生み出し、しかもそれが全部売れるっていう、モンスター作家でもあります……)

 

 1991年に発表したこの『龍は眠る』で翌年、

 第45回日本推理作家協会賞長編部門受賞。

 

 ちなみに、同時受賞は綾辻行人『時計館の殺人』でした。

 

宮部先生に関する豆知識!

 ちなみにちなみに、この『時計館の殺人』の作者・綾辻行人と宮部みゆきは、

 生年月日(1960年12月23日)もデビュー年(1987年)も一緒

 

 いわれてみると(?)おふたりとも、超ベストセラー作家だけど嫌味がなくて、ちょっと中性的な雰囲気も似てますよね~。

 

(綾辻先生のビジュアルは、サングラスや帽子であまりわかりませんけど 笑)

 

 \デビュー作/

 

 \こちらもデビュー作/

 

 そして、宮部先生といえば、大極宮(同じ事務所のこちらも大人気ミステリー作家、大沢在昌・京極夏彦との共同公式ブログ)も有名。

 

 

 

 そちらの「安寿」ブログでちょいちょい書かれているのですが、宮部先生はテレビゲームやカラオケが得意とのこと。

 また、「おーいお茶」の俳句の審査員もされているそうです。

(なんでもできるんだな……)

 

※当ブログの宮部みゆき作品の紹介記事はこちら

 

 

「龍は眠る」コミカライズ・ドラマ化

「龍は眠る」コミカライズ

  • 少年たちの心理描写が厚くて
  • 目の覚めるような超能力シーンがあって
  • キャラは爽やか
 とくれば、これは映像化向きの作品……。
 
 と思ったら、やっぱりありました! コミカライズ。
 
 ただしこれ、2025年に第1巻が出てるんですよね。

 1991年に出版された小説が、30年以上たってマンガになるとは。

 すごいな~。

 

 

 

「龍は眠る」ドラマ化

 本作は、1994年に石黒賢主演でドラマ化もしており、2025年5月にはBSフジで再放送されました。

 七恵役の鶴田真由さんがかわいい♡

「龍は眠る」こんな方におすすめ

  • 青春ミステリーが好きな方
  • 超能力ものが好きな方
  • 宮部みゆきのファン

 

 

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪

 

 

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