そんなタイプの小説が好きな方なら、迷わず読んで!
2002年発表の、伊坂作品人気のきっかけとなったベストセラーです。

「ラッシュライフ」あらすじ
その後、「あなたの好きな日本語を教えて下さい」という白人女性のスケッチブックに「夜」と書いた黒澤は、野良犬らしい老犬を見かけますが、「泥棒と犬が仲良くしてはいけない」という自らの美学に従って歩き去ります。
◇◇◇
◇◇◇
その後、ハサミを持った女性が野良犬に近づくのを見た豊田は、老犬を守ろうと、思わず自分の犬だといってしまい――。
「ラッシュライフ」感想
仙台(と新幹線)を舞台にした群像劇
本書は、
- 4人の視点人物のパート
と
- 狂言回しとなる1人のパート
からなる群像劇。
それぞれのパートがきっちり描き分けられ、
これしかない!という順番でつながれていく、
騙されて嬉しい傑作✨です。
物語の舞台は、作者の住む仙台、および、東京・仙台間を結ぶ新幹線のグリーン車。
仙台駅前の喫茶店や展望台、岩手山なども出てきて、土地勘のある方は楽しめそうです。
(ただし、過去のインタビューによると、作者は作品内で架空の場所も登場させているそうですが 笑)
\伊坂作品で新幹線といえばこちら!/
\ハリウッド映画にもなりました/
ひとつだけご注意
それぞれのエピソードがぐわん!と収束して予想外の形に、
というのが本作の魅力。
というわけで、途中までは互いに関係なさそうなエピソードが着々と積み上げられていくのを、読者は読み進むことになるわけですが。
キャッチーな導入部はいいとして、中盤あたりでおそらく、
みなさまちょっと飽きてきます 笑
(ていうか、わたしは飽きました 笑)
(伊坂せんせーごめんなさい)
でも頑張って!
ここちゃんと読んでおかないと、
後半の怒涛の伏線回収が楽しめません!
あ、ちょっと飽きるといっても、
下のレジェンド作品の問題パート ↓ に比べたら、比べ物にならないくらい読みやすく面白いのでご安心を!
(各方面にたいへん失礼な発言申し訳ございません……)
\第2部の前半がアレなレジェンド作品/
\イントロがアレなレジェンド作品/
伊坂幸太郎作品の「初級編」
上に書いた、途中ちょっと我慢が必要なことや、
とある仕掛けによってちょっとややこしい(最後にはわかりやすく提示されますのでご安心を!)こと。
そんな理由から、個人的に本作は、
伊坂作品の入門編の先の、初級編
と呼べるのではないかと思っています。
ここでいう「初級」とは、
- あの伊坂幸太郎の作品だから、多少読みにくいところがあっても、この先面白くなると信じて読み続けられる✨
- 伊坂ファンとして、評価の高いこの作品は読んどかないと✨
とか、
- むしろこういうタイプ大好き✨ というミステリー好き
という域に達した方のこと 笑
この点、「入門編」として前の記事でご紹介した「陽気なギャング」シリーズは、
どなたにでも読みやすくわかりやすいんですよねー 笑
事件が大渋滞:バラバラ殺人・空き巣・不倫殺人・ひき逃げ・拳銃密売・カリスマと信者たち
ミステリーとしては、
それぞれのパートでさまざまな事件が起きた結果、
おなじみの「犯人は誰だ?」という謎の他、
「被害者は誰だ?」「動機は?」「方法は?」「アレはどこへ消えた?」などなど、
といいたくなる、とっちらかった状況になるのですが。
ご安心ください。
キャラの立った登場人物たち:とらじの推しは黒澤です
黒澤を探せ!
たくさんの登場人物が思い思いに振舞う中、わたしのお気に入りは、泥棒の黒澤パートでした。
(検索したら、読者に人気のあるキャラらしいですね)
この黒澤、本作で登場して以来、
他の伊坂作品にもスターシステム的にちょいちょい出てきますので、気になる方はぜひチェックを。
\いい話だけど、設定がきつかった……(号泣)/
\未読ですがちょっとだけ黒澤の話が出るとか/
\短編集です/
\ゆるめの連作短編集だとか/
\長編です/
志奈子・河原崎・京子・豊田
東京・仙台間の新幹線まわりにしか登場していないとはいえ、志奈子の悲惨な状況にはかなりのインパクトがありました。
業界の闇的もあるんだろうけど、ほんと災難だよなあ。
気の毒としか。
戸田が! 憎い!
河原崎については、動きが衝動的で考え方も独特で、読んでいて内面を掴めませんでした。
それでも、心に負ったものが、徐々に見えてきた感じはあり。
やったことはアレだけど、かわいそうだな……。
京子パートは、キャッチーだけどやや乱暴 笑
特に終盤、京子の扱いが雑すぎる 笑笑
そしてそして、
豊田があのあとどうなったのか、とっても気になります!
ミステリーとか関係なく、ごくごく単純に 笑
(みつけて!)(そして気づいて交換して!)
軽妙な会話と名言
黒澤パートに顕著でしたが、軽妙な会話もこの作品の魅力。
(次作の『陽気なギャングが地球を回す』より、本作に出てくる会話の方が、わたしは面白かったです)
そこに作者の強いメッセージがしのばされているのは、伊坂作品の特徴です。
〇印象に残った名言その1・河原崎パート(p125-126)
「内臓だよ」
「神について考えてね、俺は俺なりに分かったんだ(後略)」
「(前略)俺が胃に対してできることは何かと言うと」
「何ですか?」
「声に耳を傾けて、最善を尽くし、祈ること」
○その2・黒澤パート(p224)
「(前略)喋るカカシでなくとも、何か安心できる存在が自分を見ていてくれるのなら、おそらくこれほどまでに不安になることはないんじゃないかとね。『未来は神様のレシピで決まる』と彼はよく言うんだ。たぶん彼の言う『神様』は、普遍的な何かを指すんだろうな」
「『神様のレシピ』か。変な言葉だな」
「運命と言うよりはよほどいいと思わないかい。(後略)」
他の伊坂作品との関係
先に、泥棒の黒澤のスターシステムについて書きましたが、伊坂作品ではキャラクターだけでなく作品同士もリンクしています。
前項で取りあげた「喋るカカシ」についての会話は、デビュー作『オーデュボンの祈り』の、あの人についての噂話から展開。
河原崎パートのp233で出てくる
「横浜で起きた映画館の爆破未遂事件」
というのは、
本作に続き2003年に発表された『陽気なギャングが地球を回す』の、4人が出会うきっかけになった事件のことですね。
\紹介記事はこちら/
タイトルの「ラッシュライフ」とは
本文前に、タイトルに使われている「ラッシュ」の意味について、英和辞典からの転記があります。
カタカナだと「ラッシュ」と表記されるこの言葉、実は
「lash」「lush」「rash」「rush」という4通りの可能性があるのだとか。
さらに、
「ラッシュライフ(Lush Life)」という曲名のジャズもあるそうです。
作中、登場人物たちがそれぞれの思う「ラッシュライフ」について語るのが、それぞれの人生観を感じられて興味深かったです。
「ラッシュライフ」こんな方におすすめ
- 凝った構成のミステリーが好きな方
- 伊坂幸太郎ファンの方
- 伊坂幸太郎の初期の代表作を読んでみたい方
- 仙台にゆかりのある方
\映画化もしました/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
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