「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎:伊坂作品初心者におすすめ・すべてが伏線!映画も人気のシリーズ第1作

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「伊坂幸太郎のミステリーが面白いらしいけど、どの作品から読めばいいかわからない

「“伏線回収”や“精緻な構成”が魅力と聞いたけど、複雑すぎて楽しめなかったらイヤだし……」

 と思っている方へ。

 この記事では、初めて伊坂作品を手に取る方におすすめの『陽気なギャングが地球を回す』をご紹介します。

 2003年発表の作者の第3作にあたるこの作品は、それぞれ
「他人のウソがわかる」「天才スリ」「即興演説の達人」「精密な体内時計持ち」
 という特殊能力を持った、男女4人の銀行強盗のお話。

 あっと驚く展開で読後感もいい、
軽やかなミステリーですが、深刻なテーマも含んでいて、どんな読者にも刺さると思いますよ ♪
 
 
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■目次■
 

陽気なギャングが地球を回すアイキャッチ

「陽気なギャングが地球を回す」あらすじ

 舞台は横浜。
 偶然知り合った成瀬(なるせ)・響野(きょうの)・雪子(ゆきこ)・久遠(くおん)の4人は、それぞれの特殊能力をいかして銀行強盗をしています。
 
1.成瀬:
他人の嘘がわかる、37歳の市役所職員。離婚した妻が息子のタダシを引き取っている。
 
2.響野:
成瀬の高校時代からの友人。ほら吹きで即興演説が得意。妻の祥子(しょうこ)と喫茶店を経営。
 
3.雪子:
生まれつき正確な体内時計を持つ、30代前半の未婚のシングルマザー。派遣社員で、地道(じみち)という男性との間にもうけた中学二年生の息子・慎一(しんいち)とふたり暮らし。
 
4.久遠:
人間より動物を愛する二十歳の青年。スリが得意。
 
 連戦連勝の4人でしたが、ある日、銀行から首尾よく4千万円を奪って車で逃走している途中で、謎の男たちに襲われて金と車を奪われます。
 
 しかも、男たちは世間を騒がす現金輸送車襲撃犯だったらしく――。

「陽気なギャングが地球を回す」感想

伊坂幸太郎作品初心者におすすめ

 伊坂作品の特徴である、

 

  • 膨大な伏線と華麗なその回収
  • スリリングなシーン

 

 はしっかりありながら、

 

  • 物語はセリフ中心で、
  • テンポ良く軽やかに進んでいく

 

 大人気作品です。

 

 とても読みやすく、読後感も爽やか

(法律的なことはさておき)

 

 読んでいると頭の中に映像が浮かんでくるような、とっつきやすいクライムコメディで、初めて伊坂作品を読む方におすすめです。

キャラの立った登場人物たち

 それぞれ特殊な能力を持つ、成瀬・饗野・雪子・久遠ら4人の登場人物たち。

 

 個人的には、主人公は成瀬かなと思いますが、

 物語は「成瀬 I」→「響野 I」というように、視点人物が交代しながら進んでいきます。

 

 響野の妻の祥子も含め、出てくる人は皆、口が減らないタイプ。

 理屈っぽくて無機質な感じの会話が、伊坂作品っぽい。

 

 37歳の響野と二十歳の久遠と中二の慎一の、大人げないフラットな関係も面白かったです。

名言あります

 読みやすい一方で、本作はいくつかの深刻なテーマも含んでいます。

 

 軽やかな会話の中に、作者の熱いメッセージがしのばされている印象。

 

 今回、再読して心に残ったのが、自閉症のタダシについての久遠と成瀬のやりとり(p71~72)でした。

 

「タダシくんは、中枢神経の障害だか何だか分からないけどさ、突然、外国に放り投げられたようなもんなんだよ。コミュニケーションの手段を取り除かれているところからスタートするんだからね。(中略)僕たちの言葉を鸚鵡返しにしたり、文章を丸暗記したり。意味も重要性も分からないから、手当たり次第に記憶する。時折、堪えられなくなってパニックを起こす」

 

「決めつけるなよ」成瀬は笑う。

 

「タダシくんはどうにか世の中のルールを探そうとしているんだ。だから、ようやく見つけたルールがちょっとでも変更されていると戸惑うんじゃないかな。(後略)」

あそこは解釈違いです伊坂センセー(公式に抗議するスタイル 笑)

 ところでこの作品、本筋とは関係ないのですが、何度読んでも気になることが……。

 

 それは、とある女性キャラの、男の趣味について。

 

 いくら二十歳前後の若い頃のこととはいえ、

 

 あの人が、よりによってあの男とつき合って、子どもを産んで3人で暮らすとは、思えないんだがー!

 

 百歩譲って、予期せぬ妊娠はあるかもしれないけど。

 

 いくら親に関心を持たれていなかったからって、

 

 そもそも、あいつとつき合わなくない?

 おまけに、大事な子どももいるのに、

 一緒に暮らさなくない?

 

 既読の方のご意見が知りたいなー 笑

「陽気なギャングが地球を回す」作者・伊坂幸太郎とは

 作者の伊坂幸太郎は、1971年千葉生まれ。

 仙台在住で、作品には仙台を舞台にしたものが多いです。

 

 2000年に『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。

 

 この記事でご紹介した『陽気なギャングが地球を回す』は、

  • 2002年発表の第2作ラッシュライフに続く第3作で、
  • デビュー前の1996年にサントリーミステリー大賞佳作となった『悪党たちが目にしみる』を元に書かれた作品

 とのこと。

 

 また、

『重力ピエロ』(2003年)『チルドレン』(2004年)『グラスホッパー』(2004年)『死神の精度』(2005年)『砂漠』(2006年)が直木賞候補になったあと、

 2007年発表の『ゴールデンスランバー』が同賞の候補となることは辞退した、というエピソードも有名です。

 

 国内外で作品が読まれ様々な賞を受賞している、ミステリー界を代表するベストセラー作家のひとり。

 

 ちなみに『ゴールデンスランバー』は、

  • 2008年本屋大賞
  • 第21回山本周五郎賞
  • 『このミステリーがすごい!』2009年版1位

 を受賞/獲得し、映画化もされています。

 

 

「陽気なギャング」シリーズ

第1作「陽気なギャングが地球を回す」(2003年発表)

 この記事でご紹介しました。

第2作「陽気なギャングの日常と襲撃」(2006年発表)

第3作「陽気なギャングは三つ数えろ」(2015年発表)

「陽気なギャングが地球を回す」映画化

 本作は2006年に映画化されました。

 

 主なキャストは下記の通りです。

  • 成瀬:大沢たかお
  • 雪子:鈴木京香
  • 響野:佐藤浩市
  • 久遠:松田翔太
  • 祥子:加藤ローサ
  • 地道:大倉孝二

 

 雪子は原作では小柄なので、スタイル抜群の鈴木京香さんとはだいぶ印象が違う……けど、鈴木京香さんがかっこいいから問題なし ♪

 

 わたしは、DVD(Blu-rayかも?)で観ました。

 

 佐藤浩市さん演じる響野の、ケレン味たっぷりの「ロマンはどこだ?」(注:原作では「?」はついてません 笑)が印象に残っています 笑

 

 

「陽気なギャングが地球を回す」コミカライズ

 本作は2006年にコミカライズされています。

「陽気なギャングが地球を回す」こんな方におすすめ

  • 伊坂幸太郎作品を初めて読む方

 

  • 軽く楽しめるミステリーを読みたい方

(「新書刊行時あとがき」によれば、作者は90分くらいのあまり頭を使わず楽しめる映画が好きで、そういうものが読みたくなって本書を書いたそうです)

 

  • クライムコメディが好きな方

 

  • ジャンルを問わず、物語での伏線回収が好きな方

 

「陽気なギャングが地球を回す」が面白かったあなたには、こんな伊坂幸太郎作品もおすすめ

「ラッシュライフ」:伏線回収バッチコイ!な方に

「伏線回収」からの、「壮大な騙し絵」

 伊坂幸太郎の初期代表作。

「ギャング」の伏線回収が楽しめた方なら、ぜひどうぞ!

 

 \紹介記事はこちら/

「死神シリーズ」:人間ドラマや会話・作者の人間観に惹かれた方に

「ギャング」では伏線回収よりも、人間ドラマや会話、そこから伝わる作者のメッセージと人間観に惹かれた!

 という方には、こちらがおすすめ。

 ミステリー色は薄めかも。

第1作「死神の精度」:死神が主人公の連作短編集

 ユニークな死神が、それぞれの人の「死」を見定めるため人間界で過ごす7日間を描いた、ドライで独特なテイストの連作短編集です。

 

 読みやすくわかりやすい作品揃い。

 とはいえ、そこは伊坂作品、楽しい仕掛けもあるので、ぜひ順番に読んでください。

 

 表題作は日本推理作家協会賞短編部門受賞

 

 巻末には作者のインタビューも。

 

 \紹介記事はこちら/

 

 金城武さんの死神がスタイリッシュな映画化作品。

第2作「死神の浮力」:こちらは長編

「殺し屋シリーズ」:伏線&構成&アクション!ハリウッド映画にもなりました

 ハリウッド映画にもなった、人気の「殺し屋シリーズ」が読みたい方はこちら。

 どこから読んでも大丈夫ですが、やはり第1作から読む方が、リンクした部分でニヤニヤする楽しみがあります 笑

第1作「グラスホッパー」

 復讐のため殺し屋になろうとする主人公。

 とはいえそこは伊坂作品、いろいろ巻き込み巻き込まれて、明日はどっちだ 笑

 

 美男美女だらけでゲシュタルト崩壊(何の? 笑)を起こしそうな映画化作品。

 山田涼介さんのアクションが評判でした。

 

 コミカライズも。

第2作:「マリアビートル」

 個性豊かな殺し屋たちが、東北新幹線で狙い狙われ。

 シリーズで一番評価されてる印象があります。

 2022年英国ダガー賞最終候補作

 

 ブラピでハリウッド! 真田広之も!

 外国人にとって、新幹線って新鮮らしいですね。

第3作:「AX アックス」

 シリーズ初の連作短編集。

 今度の殺し屋は、愛妻家!

 2020年年間文庫ランキング(オリコン・日販・TSUTAYA・ダ・ヴィンチ)1位

(※殺し屋シリーズ3冊セットもあります)

第4作:「777 トリプルセブン」

 第2作「マリアビートル」の姉妹版。

 あの人が出るぞー。

「アヒルと鴨のコインロッカー」:伏線&構成&人間ドラマの極上ミステリー!

 伊坂作品で一番悲しい物語という評判も……。

(悲しすぎて、とらじは紹介を諦めました! でも面白いからぜひ読んで!)

 第25回吉川英治文学新人賞受賞。

 

 映画も名作!

 主人公・椎名役の濱田岳さんと、彼に書店襲撃を持ちかける河崎役の瑛太(現・永山瑛太)さんファンは、絶対観た方がいい!

 

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪

 

 

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