ふたたび潜入捜査を命じられる新田浩介と、フロントクラークからコンシェルジュへと成長した山岸尚美。
シリーズ第1作に続いて、木村拓哉&長澤まさみのバディでふたたび映画化された大人気作です。
2017年9月単行本出版。
\シリーズ第1作の記事はこちら/
小説「マスカレード・ナイト」あらすじ
小説「マスカレード・ナイト」感想
ゴージャスで楽しい!「マスカレード」な一夜
ホテルとは、基本的には寝泊りという「日常」を送るために利用するもの。
でも、そのサービスと施設の品質が、利用客に「非日常」を提供してくれるんですよね。
そんなただでさえ気持ちの華やぐ一流ホテルという舞台を、今回さらに盛り上げるのが、「仮面・仮装(=マスカレード)」・「年越しパーティー」というモチーフ。
しかも、23時スタートのパーティーには、年越しの瞬間に参加者全員が仮面やかぶり物を外すというルールが。
つまり、12時になったら元の自分に戻る、1時間だけのシンデレラスタイルなのです。
(パーティー前から仮装して、ホテルのあちこちでうろうろしてるお客さんも多いのですが 笑)
潜入捜査官たちが顔の見えない犯人を追い、年を越した瞬間に、追う者追われる者すべての素顔が暴かれる。
という、ドラマチックな展開が約束されているわけで、
こんなのもう、
読む前から楽しいじゃないですか! 笑
ただし、第1作の発表された2008年~2010年から、本作の書かれた2017年の間に、10年近い間隔があったせいか、物語の世界観は現代的に。
ゴージャスとはいえ、バブリーとはちょっと違います 笑
たとえば作中、とある客が行うサプライズ計画について、
コンシェルジュである尚美は懸命に協力しながらも、内心
「こちらが恥ずかしくなりそうなベタなアイデア」
と思っています 笑
コンシェルジュ尚美の名言出ました(文庫p263)
本格ミステリー/バディものとして読みごたえアップ
本作は、シリーズ前作よりも、本格ミステリーとしての面白さが増しているように感じました。
元々、シリーズ3作目ということで、新メンバーの氏原を除けば、設定やキャラクター同士の人間関係は既にできています。
しかも本作では、1作目『ホテル』ほどそれぞれのキャラの細かい感情を追いません。
そのため、謎を追う話の展開がスピーディーに。
さらに、ダブル主人公状態だった第1作とは異なり、今回は新田視点のパートがメインのため、警察ミステリー色が濃くなっています。
見方を変えると、この設定でホテルスタッフ側の感情をあまりリアルに描き込むと、そもそもこんな無謀な捜査するなよというか作品のリアリティーとけれん味がケンカしてしまうので、本作くらいの描きこみ方がちょうどいいのかも 笑
とはいえ、尚美&新田や、能勢&新田のバディは健在。
それらを楽しみながら読むことで、安心して「マスカレード」の世界にひたることができました。
大胆なトリックと予想外の真相
シリーズの前2作と同様、今回も
ホテルの客たちもスタッフも「仮面」をかぶっているので、
新田や尚美が彼らに振り回されたあとで一件落着、となってからも、事態は二転三転。
最後まで目が離せません。(マジで)
犯人が自己中心的なのも前作と同じですが(ばっさり)、
メイントリックやあれこれの犯行動機は、一作目の『ホテル』よりリアルというか、読者が理解しやすくなった印象があります。
特に、最後に明かされる「動機」となった問題は、早く何とかしなければならないと取り組まれている課題ですよね……。
(ネタバレ防止のためにふんわり書いております)
つまり本作、
ミステリーとして深みを増して魅力的に、
映画「マスカレード・ナイト」
今回は、「マスカレード」というタイトルを、シリーズ3作目にしてまんま使ってきた「仮面舞踏会」のお話。
映(ば)えるけど、メイントリックの実写化が難しいかも?
と思いましたが、
2021年に映画化されているんですね 笑
前作の映画「マスカレード・ホテル」(2019年公開・シリーズ第1作『マスカレード・ホテル』が原作)と同じく、
新田浩介役は木村拓哉、山岸尚美役は長澤まさみ。
前作でおなじみのメンバーが脇を固めるほか、
・新田の補佐のフロントクラーク・氏原役に石黒賢(犯人?)
・新田がダンスを習うインストラクター役に中村アン(犯人?)
・尚美が振り回されるセレブ宿泊客・日下部役に沢村一樹(犯人?)
などなど、今回も豪華な顔ぶれです。
「マスカレード・ナイト」こんな方におすすめ
- バディものが好きな方
- 本格ミステリー/警察ミステリーが好きな方
- お仕事小説が好きな方
- 一流ホテルでの年越し仮面舞踏会という、華やかな世界を楽しみたい方
- スリリングな追跡劇を楽しみたい方
シリーズ次回予告
\次回記事はこちら/
\単行本派はこちら/
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