短編集「クリスマス・プレゼント」ジェフリー・ディーヴァー:どんでん返し16編・「リンカーン・ライム」短編も

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「リンカーン・ライム」シリーズでおなじみジェフリー・ディーヴァーの、初の短編集。
「どんでん返しの魔術師」が贈る、多彩な16作品をどうぞ。
 原題は “Twisted”(ひねり)、2003年発表。
 邦訳は2005年出版。
 
 
 邦訳タイトルは、書き下ろし第13話の題名から。
 
 他の作品はクリスマスとは無関係の、1年中いつでも読める1冊です 笑
 
 大人気「リンカーン・ライム」シリーズのスピンオフ(上記の第13話)も収録されていますが、同シリーズ未読でも問題ありません
 
 サービス精神旺盛な作者らしく、収録された16編はバラエティに富み、
 どなたでもお気に入りの1作をみつけられそうな短編集です。
 
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■目次■
 

クリスマス・プレゼントアイキャッチ

「クリスマス・プレゼント」作者ジェフリー・ディーヴァー

 表紙の著者紹介と三橋曉の解説によると、

 作者ジェフリー・ディーヴァーは1950年アメリカのシカゴ郊外生まれ

 雑誌記者、弁護士を経て、40歳で専業小説家になります。

 

 実質的な作家デビューは1988年発表の『汚れた街のシンデレラ』

 

 1997年発表、映画化もされた『ボーン・コレクター』(「リンカーン・ライム」シリーズ第1作)で人気作家に。

 

 

 

※注意!マット・デイモンでおなじみ「ジェイソン・ボーン」シリーズ(映画「ボーン・アイデンティティー」など)とは別作品です。

 

 

 作家生活が軌道に乗り始めた1990年代中盤からのディーバーは、

『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』や『アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン』などで短編執筆をスタート

 

『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』読者賞を2度受賞

(この記事で紹介する短編集の第7話と第11話です)

 

 また、エドガー賞最優秀短編賞に2度ノミネートされています。

(同じく第7話と第16話)

 

 

■ディーヴァーの代表作「リンカーン・ライム」シリーズ第1作『ボーン・コレクター』

 

 事故で頭・首・左手薬指(と、肩を少しだけ)しか動かせなくなった、天才鑑識官リンカーン・ライム。

 家のベッドからライムが出す指示に従い殺人現場の鑑識を行う、元モデルのアメリア・サックス巡査。

 急ごしらえバディが、ニューヨーク市民を脅かす連続殺人鬼「ボーン・コレクター」を追う。

 

 デッドラインまでに被害者を救出できるかというハラハラどきどきや、科学捜査の豆知識などで、ページをめくる手が止まらないスリラーです。残酷な描写あり。

 安楽死の是非やハヤブサの生態に興味のある方にもおすすめ。

 

■シリーズ最高傑作とされる第7作『ウォッチメイカー』

 

短編集「クリスマス・プレゼント」収録作品簡単あらすじ

第1話『ジョナサンがいない』(2002年発表)

 次の項 (「ベスト3+1」)↓ でご紹介します。

第2話『ウィークエンダー』(1996年)

 逃走中の二人組の強盗殺人犯と、偶然居合わせて警官からの盾にされた男性客。

 相棒のせいで窮地に陥った「おれ」に、拉致された男性客が話したことは。

第3話『サービス料として』(1999年)

 精神科医ハリー裕福な患者パッツィは、夫が自分の亡くなった父の幽霊のふりをすると訴える。

 小さな不満で騒ぐ裕福な患者たちより、重症患者を治療したかったハリーは、彼女の症状に精力的に取り組み――。

第4話『ビューティフル』(2001年)

 スーパーモデルのキャリーは、ストーカーから逃れようと、仕事を辞めて転居を重ね警察にも相談。

 それでも終わらない執拗なつきまといに、キャリーがとった方法は。

第5話『身代わり』(1999年)

 ガソリンスタンドで車ごと誘拐されかけたキャロリン。

 いい服・いい車・いい酒、そしていい男を楽しみたい彼女は、ケチな浮気夫を殺害する計画を立てる。

第6話『見解』(1999年)

 田舎町で現金輸送車が襲撃され、嫌われ者のレスターが容疑者に。

 保安官助手のボズとエドは、高校時代からのいじめられっ子ネイトを目撃者に仕立て上げようとする。

 

 作中語られる「見解の相違」に関する意見に、首がもげるほどうなずきました

第7話『三角関係』(1999年)

 次の項 (「ベスト3+1」)↓ でご紹介します。

第8話『この世はすべてひとつの舞台』(2002年)

 ロンドンを舞台にした、歴史ミステリー

 劇作家ウィリアム・シェイクスピアの友人でワイン輸入業者のチャールズ・クーパーは、父が悪徳貴族ムルタの策略で命を落としたことを知る。

 敵討ちをするというチャールズに、仲間は無謀だと反対するが。

第9話『釣り日和』(1995年)

 妻と8歳の娘と暮らす、ニューヨークの広告代理店重役アレックス。

 仕事や家庭での役割と父からの虐待経験により、1年前から強い不安を感じるようになった彼は、医師の助言でリラックスのために釣りとコレクションという趣味の時間を取り始めた。

 ある日、娘や妻に人目のない山での安全を心配されながら湖水に向かったアレックスは、強い不安と誰かに見られているという恐怖を感じ――。

第10話『ノクターン』(1999年)

 音楽好きのトニー巡査は、ニューヨーク・コンサート・ホール沿いのパトロール中、著名な指揮者兼作曲家がピストル強盗からストラディヴァリウスを奪われるところに居合わせた。

 刑事課に異動したいトニーは、犯人を捜しバイオリンを取り返そうとするが――。

第11話『被包含犯罪』(2001年) 

 次の項 (「ベスト3+1」)↓ でご紹介します。

第12話『宛名のないカード』(1999年)

 妻のメアリの浮気を疑うデニス

 親友のシドに、妻を束縛するなとあきれられ、外出先や領収書など些細なことを探ってみたらと提案されたデニスは、アドバイスに従い――。

第13話『クリスマス・プレゼント』(書き下ろし)

 次の項 (「ベスト3+1」)↓ でご紹介します。

第14話『超越した愛』(1995年)

 愛しいアリスンとの「超越した愛」について情熱的に語る、筋肉質でハンサムな男性マンコーと、それを聞いている「私」

 スレたミステリーファンなら気づきそうなシチュエーション。

第15話『パインクリークの未亡人』(2001年)

 亡き夫のあとを継いで経営者となった、南部ジョージアに住むサンドラ
“救いの手”を待つ彼女の前に、北部から来た魅力的な男性が現れ――。
 
 作中の、とある犯行の真相については、気づく読者が多いかも。
 怒涛のやりすぎツイスト(どんでん返し)が圧巻!

第16話『ひざまずく兵士』(1997年)

 熱心に育てた16歳の娘につきまとう、近所の20歳の男
 保安官や男の両親に訴えても効果がないことを悟り、43歳の保守的なロンは自力で娘を守ろうと動き始め――
 
 またしてもストーカーもの。
(この頃のディーバーはストーカー被害に関心があったのでしょうか)
 
 真相……は難しくても、その原因に気づいた人は、ミステリーファンに限らず多いのでは
 
 最後のひとことでの幕切れが鮮やか。

短編集「クリスマス・プレゼント」とらじ的ベスト3(+1)あらすじと感想

 収録された16編の内、わたしが好きな作品ベスト3(プラス1作)をご紹介します。

3位☆第7話『三角関係』(原題“Triangle”)

 贅沢好きなモーの変化に、ピートは気づいていました。

 モーがピートに隠れて上司のダグとつき合い始めてから、変わってしまった毎日

 ふたりの密会現場を突きとめたピートは、自分を懐柔して関係を続けようとふたりが話すのを聞いて、ダグの殺害計画を立てます。

 古本屋で万引きした犯罪の実録本『三角関係』を熟読したピートは、コロラドスプリングスの山中で夫が妻の不倫相手を殺害した実際の事件を参考に――。

 

 二度読み必至の作品です。

 

 非常にわかりやすく

 

「やられた!」

 

 となる、鮮やかなどんでん返し。

 

 たしかに、違和感はあったんだよなあ。

(や~ら~れ~た~ 笑)

 

 そして、ラストのあのセリフは、まさか……

 

 再読すると全然違う味わいになるのも印象的。

 

(結果、くすっとなることもありますが、動機を考えると怖い話かと……)

2位☆第11話『被包含犯罪』(原題“Lesser-Included Offense”)

 ダニー・トリボウ地区検事長は、死刑を求刑されうる計画的な殺人=「第1級謀殺」容疑のあるやくざ者のレイモンド・ハートマンに、司法取引をもちかけます。

 殺害動機や、手についた射撃残渣などの物的証拠、彼が被害者を脅していたという証言、事件直前に被害者を探していた姿の目撃情報などから、ハートマンが被害者を計画的に射殺したことは明らかでした。

 しかし、服役中の犯罪組織のボスたちに命を狙われているハートマンは、たとえ短期間でも彼らと同じ刑務所に入れば殺されるため、実刑を含む司法取引には応じません。

 公判が始まり、悪事で蓄えた資金で証人を買収・脅迫したハートマンは、被害者や遺族の悪い噂や自分の善行をでっちあげます。

 陪審員の印象を操作し、「第1級謀殺(計画的な殺人)」のみならず、「被包含犯罪」と呼ばれる「第2級謀殺(衝動的な殺人)」「故殺(未必の故意などによる殺人)」の立証からも逃げ切り、全面的な無罪を勝ち取ろうとするハートマン。

「郡民の安全を守ること」を使命とし、法廷で犯罪者を倒すことより、住民の環境を安全・安心にすることを優先してきたトリボウ検事長は――。

 

 収録作品の多彩さでも評価の高い本書。

 この第11話は法廷ものです。

 

 実は、第7話との間でどちらを2位にするか迷ったのですが、動機爽やかな読後感、そしてどんでん返しが正統派、という点で本作を第2位に。

 

(ああいうタイプのどんでん返しも好きですが、最近の作品で読みすぎちゃってて、久しぶりに本作のようなストレートなタイプに触れると、「うんうん、そーよな、こういうことよなー」と、つい 笑)

 

 クレバーなどんでん返しに、

 

すっきり!

 

 する作品。

 

 タイトルやあらすじが少々とっつきにくいですが、わたしのように法律に詳しくない読者でも、法律用語の多いセリフは流し読みしちゃっても、ミステリーと思って読めばきっちり楽しめます!

 みんな、ぜひ読んで!

 

(ネタバレ防止にふんわりした表現にしております 笑)

 

 主人公トリボウの、

  • 有能だけど肩の力が抜けていて
  • 人目を気にしない変人寄りのマイペース
  • けれど内には熱いものがあり
  • 妻子を愛し私生活も大事にする35歳地区検事長

 という現代的なキャラクターも魅力的でした。

(続編希望~)

1位☆第1話『ジョナサンがいない』(原題“Without Jonathan”)

 夕暮れの中、デートのため海沿いのレストランへとドライブする、34歳のマリッサ
 夫・ジョナサンとの日々を思い出し、運転中も涙があふれます。

 もう夫の死については考えず、彼のいない人生を楽しもうと自分を励ますマリッサは、海辺でロマンティックな時間を過ごすカップルを眺め、今夜初めて会う男性に思いを馳せます。

 同じ頃、少し離れた住宅街では、とある魅力的な男性が、初対面の女性の家に上がり込んで犯行を――。

 

 雰囲気はしっかりあるけど無駄はない、めっちゃよくできた短編!です。

 

 痛快! などんでん返し。

 

 読後の頭の中は、

 

「そっちかーい!」

 

 でいっぱいになりました 笑

(きれい!)

 

 文庫本でわずか20ページ半の短編。

 ぜひ多くの方に、特に女性に読んでいただきたいです 笑

+1☆第13話『クリスマス・プレゼント』

 雪のクリスマスイブ、元刑事ライムの部屋を、ニューヨーク市警のセリットー刑事が訪れます。

 セリットーの知人であるスーザンが、不審な状況で今朝から姿を消していて、娘のカーリーが警察に相談したものの、あまり時間がたっていないため行方不明として捜査してもらえないという相談でした。

 事件に興味を示さないライムでしたが、介護士のトムや、パートナーのアメリア刑事のあと押しもあり、しぶしぶ調査を引き受けることに。

 アメリアがカーリーと共にスーザンの自宅に向かいますが――。

 

 わたしのトップ3には入りませんでしたが、

 人気作「リンカーン・ライム」シリーズのスピンオフということで、こちらもご紹介します。

 

 おなじみのメンバーがわいわいしている姿と、ごくわずかな手がかりから真相に気づくライムの安楽椅子探偵ぶりが魅力的な作品。

 

 もちろん、映画にしたら映えそうなシーンもしっかり。

 

 小道具やモチーフが現代的なのも印象的でした。

短編集「クリスマス・プレゼント」こんな方におすすめ・続編とミステリー人気短編集

  • さくっと読める短編ミステリーを探している方
  • どんでん返し好きさん
  • 作者ジェフリー・ディーヴァー「リンカーン・ライム」シリーズのファン

 に、本作をおすすめします。

 
 サービス精神旺盛なディーバーの短編集第1弾が気に入った方は、よろしければ第2弾・第3弾もどうぞ
 
■短編集第2弾
 
※原題は“More Twisted”(=「もっとどんでん返し」? 笑)

 
 
■短編集第3弾
 

※今度は上下巻!

 

 
 
 キレのいい短編集に興味のある方は、ぜひこちらも!
 
 \主人公はニューヨーク市警刑事/

 
 \有栖川有栖に推された短編集その1/

 
 \推され短編集その2/

 
 \推されその3/

 
 \有栖川有栖のミステリー案内/

 
 
 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
 
 
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