史上初の暗号小説「黄金虫」あらすじ
18▲▲年10月、季節外れに寒い秋の日に、主人公「わたし」は親しい友人ウィリアム・ルグランを訪ねます。
裕福な生まれのルグランはたいへん博識ですが、財産を失って以来、召使いのジュピターと二人でへんぴな土地で暮らしていました。
少し前に珍しい黄金虫をみつけたというルグランは、ちょうどポケットにあった汚れた紙切れに虫の絵を描いて、暖炉の火にあたっている「わたし」に見せます。
その絵がどくろにそっくりだと「わたし」が指摘すると、ルグランは機嫌を損ねますが、返された絵を見て顔色を変えました。
一月ほどして、「わたし」のもとに召使いのジュピターがやってきて、ルグランの様子がおかしいと訴え――。
1843年に発表されたこの作品は、史上初の暗号を使った推理小説といわれており、舞台化されています。
「黄金虫」感想
謎の文書を読み解いて宝探しをする、冒険小説でした。
「わたし」がルグランの家を再訪してからのあれこれや、ルグランの調査の話は、特に描写がいきいきしていて、小学校高学年くらいなら子どもでも楽しく読めると思います。
というか、わたしはわくわくしました!
ただし、暗号文の解説のくだりはややこしくて、正直にいうと読み飛ばしてしまった部分もあったのですが 笑
その部分を多少読み飛ばしても、その後の展開で理解できずに困ったりはせず、最後まで楽しめました。
そういうわけで、わたしと同じように「あんまり理屈っぽいのはちょっと」「数字とかアルファベットだらけのところは飛ばしちゃうかも」という方も安心です!
もちろん、お好きな方はじっくり解読してください 笑
解説の巽孝之によると、この作品の発表当時のアメリカでは、1837年の経済恐慌のあおりで銀行の正貨支払いができず、紙幣を擁護する人々は金貨にこだわる人々を「黄金虫」と呼び、反対に金貨を擁護する人々は紙幣にこだわる人々を「詐欺師」と呼んでいたとか。
この作品が著者ポーの小説の中でもっとも売れたのは、こうした社会状況が影響しているだろうとのことです。
欧米版・猫のホラーといえばこれ!「黒猫」あらすじ
――どのみち、明日になれば私は死ぬ。だから今日のうちに心の重荷を下ろそうと思うのだ。
主人公「私」の告白文形式で書かれたホラー作品。こちらも1843年発表です。
子どもの頃から動物が大好きだった「私」は、同じく動物好きの妻と結婚し、たくさんのペットたちと仲良く暮らしますが、なかでも大きく美しい黒猫のプルートーがお気に入りでした。
やがて、「私」はアルコールにおぼれ、妻や動物たちに暴言をあびせ暴力をふるうようになります。
それでもお気に入りのプルートーは被害を免れていたのですが、ある晩とうとう、「私」はプルートーにとんでもない傷を負わせてしまいます。
プルートーに避けられるようになった「私」は、彼にさらにひどい仕打ちを――。
「黒猫」感想
すみません、子どもの頃読んだこの本なら、ホラーとはいえ紹介できるだろうと思っていたのですが!
再読したら、思ったより怖くて! 特に暴力描写!
怖すぎて、「あらすじ」を書くのも無理で、上記のように短くなってしまいました……!
ご紹介したところまでだと、話はまだ始まったばかりなのですが。申し訳ない。
「自己紹介」でお伝えしたように、
わたし、怖がりです。普段ならホラーには手を出しません。
自爆したわ今回……。
(あと、あれーこんなかわいい本も出てるんだなー、と、図書館でみつけたかわいいイラストつきの本を手に取ったら、絵がある分、逆に怖かったっていうのもあります……)
それはそれとして、この作品の後半にある、とあるひどいことをされた奥さんと猫(※)が後日……っていうモチーフ、あちこちの小説やマンガで使われてますよねー。
(注※これは、「あらすじ」に書いた「ひどいこと」とはまた別の、もっとひどいことです。もー、この話ってほんと、「ひどいこと」いっぱい出てくるんですよ……)
「黒猫」をさらに!楽しむ方法
『黒猫』を読んでみようかなと思われたみなさまー!
怪談は、好きですか?
怖ーい欧米版猫ホラーのこちらの作品を、怪談として楽しむ方法がこちら ↓
せっかくの怖いお話、しかも主人公による罪の告白スタイルときたら、まるで本人がしゃべっているかのように耳から入れれば、さらに怖いこと間違いなし。
ナレーターは中島定吉さん。暗いトーンの語りにぞくぞくしますよ~!
こんな人におすすめ
どちらもさくっと読める短編なので、世界初の暗号を使った推理小説や、超有名な猫のホラーに興味のある方は、気軽にお手に取ってみられては。
特に『黒猫』は、多くの方が知らないうちにどこかで同じタイプの作品に触れていらっしゃると思うので、ホラーが大丈夫な方は、読んで「おー、こんな昔からあった話なのか」って思っていただけたらなと。
※おまけ:今回わたしが読んだものとは違いますが、紹介した3作すべてが入っているこちらも良さそうだなと思いました。