今回は、BBCの大人気ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」の、シーズン1・第1話「ピンク色の研究」について。
(イギリスで2010年~2017年に放送、NHKでも2011年~2017年に放送された作品です)
あらすじ・感想をまとめ、コナン・ドイルの原作小説『緋色の研究』(「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1話)と比較します。
なお、原作小説『緋色の研究』については、前回の記事 ↓ で紹介したので、よろしければそちらもご覧ください。
ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」第1話「ピンク色の研究」あらすじ
ドラマの原題は、 ”A STUDY IN PINK”
原作の「緋色」に対して、ドラマは「ピンク色」なんですね。
舞台は同じロンドンですが、原作は小説が出版された1887年頃の物語で、馬車や帽子が生活必需品なのに対して、ドラマは自動車やスマートフォンが出てくる現代の物語に置き換えられています。
冒頭、ホテルの狭いベッドの上で、戦場での悪夢にうなされているジョン・ワトソン。
軍医だった彼は帰国した今も杖をついていますが、これはケガではなく心因性の症状で、カウンセラーから治療のためにブログで日々のことを書くよういわれています。
世間では、3か月ほどの間に3人の人物が薬物で自死した事件が話題となっていました。3人とも同じ薬物を用いていることと、遺体がそれぞれの人の日常の行動圏外で発見されていることから、警察が連続事件とみなしたのです。
記者会見を行うレストレード警部や記者たちのスマートフォンに、SH(=シャーロック・ホームズ)からの謎のメールが届きます。
どうやら、SH氏にはハッキング能力があるようです。
一方ワトソンは、昔の同僚スタンフォードとばったり会い、彼の紹介でルームメイトを探しているシャーロック・ホームズに会うことになりました。
ここで、皆さんお待ちかねの、ホームズによる例のやつが炸裂。
「アフガニスタンかイラク」
(とらじ注:ワトソンの任地を推測しての発言です)
驚くワトソンの前で、読み取ったワトソンの情報をべらべらべらっとしゃべるホームズ。
ワトソンはホームズが暮らすベーカー街221番地Bへ行きます。
家主は原作と同じハドソン夫人。
ただし、ドラマの彼女は、ホームズの力で夫の死刑判決が確定したという過去(!)があり、そのお礼に(!!)ホームズに格安の家賃で部屋を貸しているそう 笑
( わろてるばあいか)
陽気で世話好きな彼女は、ふたりをカップルだと勘違いしています。
それを訂正したいワトソンと、意に介さないホームズ 笑
そこへ、レストレード警部が捜査への協力を求めてやってきます。ホームズは原作と同じ諮問探偵なのです。
医師であるワトソンはホームズに頼まれ、調査に同行します。
事件現場のブリクストン(原作と同じ地名)に向かうタクシーの中で、さっき披露したワトソンのプロファイリングの根拠を説明するホームズと、それを聞いて、素晴らしい推理だったと褒めるワトソン。
そんなワトソンに、こういう話すると他の人たちはキレるけど、君は褒めてくれるんだね(ニュアンスです)、と嬉しそうな顔になるホームズ。
そのあとの現場での調査中も、ホームズの推理を人前でもちょいちょい「素晴らしい」とか賞賛しちゃうワトソンと、それに「声に出てるぞ」とかいいつつ、まんざらでもなさそうなホームズ。
(いや、「声に出てるぞ」ってどういうこと? なにそれ距離感おかしくない? ていうか脚本おかしくない?)(いいぞもっとやれ)
4人目の被害者は、ピンクのコートとパンプス姿の女性で、がらんとした空き部屋でうつ伏せに倒れていました。
左手のピンクのマニキュアがはげており、その爪で木の床に「Rache」と書いたところで息絶えたようです。
ホームズが観察中に気づいたことが画面に文字で浮き上がって(「左利き」とか)、セリフにしなくても視聴者にわかるという、便利な演出があります。
ホームズと仲の悪い鑑識のアンダーソンが、床の文字はドイツ語の「rache」だと指摘しますが、ホームズは「レイチェル」という人名を書きかけたものだと主張。
その後、被害者が持っていたはずのスーツケースを追って、ホームズは建物から飛び出します。
置いてけぼりにされたワトソンに、面倒見のいいお姉さん風のドノヴァン巡査部長(ホームズにアンダーソンとの不倫を見破られたばかり)が、ホームズは犯罪に興奮する異常な人間だから近づかない方がいいと忠告します。
ひとりで帰宅中のワトソンに、今度は背の高い謎の男性が接近して、自分はホームズのことを心配しているといい、内緒で彼の動向を教えてくれたら金を払うともちかけますが、ワトソンは断ります。
ベーカー街の家に戻ると、ホームズはパイプならぬニコチンパッチを腕に貼って集中力を高めており、犯人にワナをかけるといい出して――。
ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」第1話「ピンク色の研究」感想
全体的に、しゃれてるなー! と思いました。
「緋色」から「ピンク色」っていうタイトルの変更から始まって、様々な原作の設定がひとひねりされています。
だけど押さえるとこは押さえてて、しかもオリジナルのミステリー要素がよくできてる。
「ホームズ」シリーズの熱烈なファンによる脚本なのかなー。( 個人の想像です)
ワトソンの回想録のかわりにブログ?
ドラマのワトソンは、原作で書いてた回想録のかわりに、ブログという形で事件について書き記すことになるのでしょうか。
うまい設定ですね。
ルームメイトといったらルームメイトなんですよ
原作ではふたりが一緒に部屋を借りに行きましたが、ドラマではホームズが既に住んでいる部屋にワトソンが入る形なんですね。
家主のハドソン夫人やレストランの店主が、いちいちワトソンのことをホームズの恋人だと誤解してきゃっきゃするのが、現代的なような、逆に10年以上昔のドラマであることを感じさせるような 笑
あのメッセージはドイツ語なの?名前なの?問題
ダイイングメッセージについて、ホームズが原作と真逆の判断をするのに、にやっとさせられました。
あの被害者、浮気常習犯の困った奥さんだけど、賢かったなー。
それがなんであんな目に。くそう、犯人め。
犯人について思うこと
犯人が現れるシーンは、とってもサスペンスでした。いい俳優さんたちだ。
ただし、犯人の職業に気づいていた視聴者は多そう。わたしもです~。(自慢)
そして、被害者たちに薬物を飲ませた手口はアリだとしても、あの人へのあれはナシでは?
あれしきのあれで、そんな……というところが、ちょっとひっかかりました。
(ネタバレ防止のため非常にふんわりした表現となっております 笑)
名前を呼んでは
終盤、”名前を呼んではいけないあの方”が出たー! (ヴォルデm……)
あのやり方はもう、イギリスの伝統なの? そうなの?( 違います)
と勝手にニヤニヤしました 笑
なので、あの人にはもうちょっとその路線でがんばってほしかった。(鬼か)
(ネタバレ防止のためふんわりした表現と 以下略)
ワトソンの負傷の話でうっかりもってかれる
杖をついていたワトソンの、実際の負傷は……というシーンで、「わあ!」ってなりました。
やばいこの脚本、原作ファンを転がしにきてる! 笑 好きー!
名前の呼びかた
ドラマのホームズとワトソンは、ファーストネームで呼び合うんですよ。ジョンとかシャーロックとか。
正直わたしも、そちらの方が自然な印象を受けました。
ていうかむしろ、原作でふたりが名字で呼び合ってるのを、ちょっと不思議に思っていました。
でも、ポワロとヘイスティングズもそうだしなー。
(いまさら、「エルキュール」「なんですかアーサー」とかやられても違和感)
あの時代のイギリスは、そういう感じだったということでしょうか。(ポワロはベルギー人だけど)
ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」第1話「ピンク色の研究」、こんな方におすすめ
これは原作ファンのみなさま、非常に楽しめる作品だと思いました!
そして原作を知らない方でも、ミステリーとして十分面白いと思います。
ジャンルを問わず、バディもの好き・ブロマンス好きにも超おすすめ。(それはわたし……)
(ここでいうブロマンスは、BLではなく、すごく親しい男性同士の関係を指します。「ブロマンス」とうたいつつ恋愛関係、という作品をよく見かけるので、念のため)
いやー、ホームズ役のベネディクト・カンバーバッチ、人気爆発しちゃったのわかるなー。
でもわたしはワトソン派。そしてヘイスティングズ派 笑( ぶれない)
次回は、「ホームズ」シリーズ第2作、『四つの署名』を紹介します。
またおつきあいいただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を♪