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シャーロック・ホームズ全記事まとめ:全巻レビュー・出版社比較・読む順番・ドラマ・グッズなど - BOOKSとらじ ~ミステリー好きの読書ブログ~
短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」
各話ざっくりあらすじ・感想
第1話 「ウィステリア荘」(雑誌『ストランド』1908年9~10月号掲載)
「とても信じられぬグロテスクな体験す。お話うかがいたし」
という電報のあと、スコット・エクルズという男性がホームズのもとを訪れます。
ホームズへの相談内容は、知人の紹介で出会ったガルシアというスペイン系男性の屋敷に招かれた彼が、不快な一夜のあと驚くべき事態に陥った件についてでした。
しかし、ガルシアは昨夜惨殺されていて――。
相談者のエクルズ氏がうっかりさんなので、ちょっとした犯罪の話かと思ったら、一大事に発展してびっくり。
なお、冒頭で、この事件が起きたのはワトソンの手帳によれば1892年3月末、という記述がありますが、その時期って……(震笑)
これはきっとワトソンの書き間違いか読み間違い、ですよね。うんうん 笑
第2話 「ブルース・パーティントン型設計書」(同1908年12月号掲載):
あの名言ふたたび・BBCドラマ「SHERLOCK/シャーロック」にも
暇をもてあますホームズの元へ、珍しく兄のマイクロフトがやってきます。
ウリッジにある兵器工場で働くカドガン・ウェストという青年の死亡事件について、政府のために調査してほしいとのこと。
ウェストは月曜日の夜、婚約者と一緒にウリッジの劇場に出かける途中で霧に紛れて姿を消し、翌朝、ロンドン地下鉄の線路脇で頭を砕かれて死んでいるのがみつかりました。
遺体のポケットには、彼が開発に携わっていたブルース・パーティントン型潜水艦の、国家機密の設計書原本が入っており、10枚ある内の最も重要な3枚がなくなっていました。
どうやら、ウェストは外国のスパイに海軍の機密情報を売りつけようとしてトラブルとなり、殺されて設計書の一部を奪われたようです。
ただし、設計書の保管場所の鍵を持っているのはウェストとは別の二人だけで、彼らはそれぞれ事件の夜のアリバイがありました。
事態を収拾するため、ホームズとワトソンは調査を始め――。
ふたりのスリリングな違法調査 笑 と、トリックが面白い作品です。
途中、ホームズからの使いの手紙で、かなてこやらピストルやらをイタリアンレストランまで届けるよう頼まれて、
「善良な市民が暗く霧のたれこめる町なかで持ち運ぶにはいかがなものかと思える注文だった。」
とぼやきながらも、
オーダーされた一式をコートの下に無理やり隠してかけつける、けなげなワトソン 笑
ホームズのあの名言もふたたび登場します。
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「なつかしいあの定理を思い出さなくちゃ。ほかのあらゆることがありえないとなれば、残ったものがどんなにありそうもないことだろうと真実なんだ。(後略)」
本作をアレンジしたエピソードが、
ベネディクト・カンバーバッチ主演BBCドラマ「SHERLOCK/シャーロック」のシーズン1最終話(第3話)「大いなるゲーム」に入っています。
ちなみにその回(=シーズン1)は、ホームズ・ワトソン絶体絶命!なシーンで終わり、
みんな大好きアイリーン・アドラーの登場するシーズン2第1話「ベルグレービアの醜聞」へ続きます。
その短編『海軍条約文書』が収録されているのはこちら ↓
第3話 「悪魔の足」(同1910年12月号掲載)
コーンウォール半島で仕事の疲れを癒していたホームズとワトソンは、資産家のトリジェニスという男性から事件の相談を受けます。第4話 「赤い輪団」(同1911年3~4月号掲載)
契約したとき以来一度も顔を出さず、連絡したいことはメモで済ませるという、不審な外国人風の男性の下宿人について、ウォレン夫人から調査依頼を受けたホームズ。
やがて、夫のウォレン氏が家のそばで暴力をふるわれる事件が起こります。
ホームズとワトソンが問題の下宿人の部屋の前に張り込むと、中から顔をのぞかせたのは意外な人物で――。
過去作にも出た、アメリカのピンカートン探偵社のエピソードも。
第5話 「レディ・フランシス・カーファクスの失踪」(同1911年12月号掲載)
第6話 「瀕死の探偵」(同1913年12月号掲載)
結婚してベイカー街の部屋を出たワトソンのもとをハドソン夫人が訪れ、ホームズが重病だと伝えます。
追記:ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」(BBC)
シーズン4第2話「臥せる探偵」
ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」のシーズン4第2話で、このエピソードが使われていますね。
タイトルは「臥せる探偵」“The Lying Detective”
(原作はDyingでした)
ドラマは前シーズンの3から怒涛のオリジナル展開で、「あーこのタイトル」とは思っても、話を追うので精いっぱい。
途中、まんまと騙されました!
……いや、「騙され」たわけではないか、あれは。(ま け お し み)
ちなみにドラマは、衝撃のラストシーンから最終回(シーズン4第3話)に突入します。
第7/最終話 「最後の挨拶」(同1917年9月号掲載)
第一次世界大戦前夜の1914年8月2日の夜、イギリス某所の海沿いに建つドイツ人スパイの屋敷で、家主のフォン・ボルクと上役のドイツ公使館書記官長が満足げに語り合っています。
イギリスでの情報収集をほぼ終え、近日中にドイツに戻るスパイ。
やがて書記官長が去ると、約束していた情報屋が現れ――。
副題は「シャーロック・ホームズのエピローグ」
巻末の松岡正剛のエッセイに記載された年表によれば、このときホームズは60歳。
ホームズとワトソンの引退後(?)の姿が見られる作品です。
リンク
短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」感想とこんな方におすすめ
第2話『ブルース・パーティントン型設計書』を除き、全体的にこれまでの作品より調査・推理パートはあっさり。
作品を読みながら一緒に謎を解くというより、ホームズとワトソンの冒険を見守るような読書でした。
その一方、各短編の特徴はかなりはっきりしています。
ずばり、「濃い」作品が多い 笑
普段からホームズに振り回されているワトソンも、いつも以上にやられています 笑
なかでも第6話『瀕死の探偵』は、その映えすぎるエピソードのせいか 笑、挿し絵を除くと文庫本で30ページに満たない掌編の割には、ホームズファンの間でよくネタにされ取り上げられている印象が。
そんな「濃い」作品が読みたい方におすすめの短編集です 笑
次回予告
シリーズ次回は、ついに最終作!
短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』を紹介します。
またおつきあいいただけたら嬉しいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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