「シャーロック・ホームズ」シリーズ ~読む順番と、作者ドイルの本音~

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 今日から数回にわたって、前の記事でも軽く触れた、「シャーロック・ホームズ」シリーズを取りあげます。
 
 
 今回は、ホームズ作品を楽しむ前の準備(?)的なことを。
 まあまあのボリュームになったので、下の目次から興味のある項目に飛んでくださいね。
 

ドラマも映画もマンガもアニメも……「シャーロック・ホームズ」

「シャーロック・ホームズ」といえば、今も続々と関連作品が作られ、しかもヒットしているという、モンスターコンテンツ。

 

ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのバディで大ヒット、BBCドラマ「SHERLOCK/シャーロック」

 

定番のイギリス・グラナダテレビ、ジェレミー・ブレット主演「シャーロック・ホームズの冒険」

 

ロバート・ダウニー・Jr.主演、ワーナー映画「シャーロック・ホームズ」

 

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 こんなにも関連作品が多いからこそ、できることなら最初は小説から入ってほしいのです。

 

 まずは原作をおさえてほしい。

 なぜなら、混乱するから。

 

 実はうちでも、似たことがあったんですよねー。

 子どもが、マンガ『銀魂』を読んだあと、学校で日本史の授業を受けたときのこと。
 幕末の人たちの名前が、マンガのキャラの名前(アレンジされています)とごっちゃになっちゃって(爆笑)

(全部、『銀魂』が面白いせいだ! 笑)

 

 

どのお話でも、神楽と沖田がやいやいやり合ってるところが大好き。再現率~。橋本環奈ちゃんと吉沢亮くんのお母さん、ふたりをかわいく生んでくれてありがとう。(しんけん)

 

 そんなわけで、『銀魂』の件はさておき 笑 まずは読んでおかれることをおすすめしたいです、小説「シャーロック・ホームズ」シリーズ。

小説「シャーロック・ホームズ」どれから読む?

TypeA 「読んでみようかな?」という方なら、短編「赤毛組合」から(ハードルの低いおすすめパターン)

(1)短編集『シャーロック・ホームズの冒険』の第2話『赤毛組合』を読む

 

(ここで注意!

 第1話『ボヘミアの醜聞』は読まずに、第2話『赤毛組合』を読んでください)

 

(2)読み終えて、もっと読みたいな、となったら、下 ↓ の通り発表順に読む

 

(ただし、『赤毛組合』に続けて、第3話『花婿の正体』、第4話『ボスコム谷の謎』……と、短編集『シャーロック・ホームズの冒険』をそのまま読み進めてから第1作の『緋色の研究』に行っても、それはそれでOKです。

面白いですもんね、『冒険』

シリーズ人気が爆発したのは第3作の『冒険』からなので、当時の読者もその順番で読んでいたのではないかと)

 

  1. 長編緋色の研究
    (作者ドイルの単行本デビュー作。ホームズとワトソンの出会い
  2. 長編『四つの署名』
    (ワトソンの恋物語あり)
  3. 短編集シャーロックホームズの冒険
    (おまたせしました。今度は第1話『ボヘミアの醜聞』からどうぞ)
  4. 短編集『シャーロック・ホームズの回想』
    (最終話は『最後の事件』
  5. 長編『バスカヴィル家の犬』
  6. 短編集『シャーロック・ホームズの生還』
    (第1話は『空家の冒険』
  7. 長編『恐怖の谷』
  8. 短編集『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』
    (最終話『最後の挨拶』は、シリーズの時系列では最後の話
  9. 短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』
    (収録作『ショスコム荘』は、ドイルが最後に発表したホームズ作品
  10. 新潮文庫のみ:『シャーロック・ホームズの叡智』

(表記は翻訳により、「組合」が「連盟」だったり、「回想」が「思い出」だったり、「生還」が「帰還」や「復活」だったりします)

 

 この順番にした理由は、ホームズ作品が初めてという方にとって、『緋色の研究』はおそらく少々読みにくいからです。

 

 最近のエンタメって、展開早いですよね。

 マンガなら、初回で盛り上げて引きも作らなきゃいけないし、ミステリー小説なら、「さっさと死体を転がせ」が鉄則。

 

 そんなエンタメ環境に慣れた2024年のわたしたちに、『緋色の研究』のペースはややまどろっこしいのです 笑

 がんばって第1部を読み終わっても、第2部に入ったら「これ、何の話?」となって脱落する方が多そう。

 

 そんなわけで、記念すべき第1作『緋色の研究』は、読みやすいといわれる短編集『シャーロック・ホームズの冒険』の中でも、特に評価の高い『赤毛組合』で、ホームズの世界をまずは体験してからでいいんじゃないかなと。

 

 なお、同じ短編集の第1話『ボヘミアの醜聞』をあとに回してほしい理由は、

 

・あまりホームズものっぽくない(とはいえ、ホームズらしいっていえばらしいのですが……)特殊な事件で、「とりあえずホームズ体験」には適していないから

 

・先に出版された『緋色の研究』『四つの署名』を読んで、ホームズのとある特徴を知ってから読むと味わい深いから

 

 の2点です。

 

 そして、

 

(3)『赤毛組合』を読んだ結果、もしも「こういう作品はあんまり……」となったら。

 その場合は無理せず、ホームズものは一旦ストップするのをおすすめします。

 本との出会いにはそういうこともあるさ。

 またいつか、気が向いたときに試してみては?

 

TypeB 「絶対読む!」なら、「緋色の研究」から出版順に

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日本シャーロック・ホームズ・クラブのコメント:「空家の冒険」は「最後の事件」を読んでから

 なお、日本シャーロック・ホームズ・クラブでは、ホームズシリーズの読む順番を尋ねる質問に対して、

 

 本でいうなら上記(4)の短編集『シャーロック・ホームズの回想』

(話でいうなら、その最終話『最後の事件』

 

 を読んだあとで、

 

 上記(6)の短編集『シャーロック・ホームズの生還』

(または、その第1話『空家の冒険』

 

 を読むように。

 

(つまり、その2話の順序を逆にするのはおすすめしない

 

 とFAQで答えています。

「シャーロック・ホームズ」シリーズ、読む順番で1番大切なこと

 短編集の『赤毛組合』から試す方にも、デビュー作『緋色の研究』から読み始める方にも、共通して大切なこと。

 

 それは、ネタバレ防止のため、どちらも『緋色の研究』からは、発表された順番通り読み進めることです。

 

 実はこのシリーズ、時系列順に書かれていないので、発表された順(=刊行順)に読むと話が前後するところはあります。

 ですが、そこにこだわって細かく時系列順に読もうとすると、少々不都合が…… 笑

(読めばわかります 笑)

 

 それでも、もしかするとタイトルについて、

「あれ? この本(または話)、タイトルに『最後』が付いてるから最後に読んだ方がいいのかな?

 とか気づいちゃうことがあるかもしれませんが、そこはあえて、それ以上考えない! 笑

 

 たしかに、ちゃんとタイトルを読む方ほど悩むと思うんですよね、読む順序。

 

・短編集の目次を見たら、『最後の事件』って話が入ってたんだけど、これ読んじゃっていいの?

 

 とか。

 

・そもそも、タイトルに「最後の挨拶」って言葉が入ってるけど、これって最終巻じゃないの?

 

 とか。

 

 そんな、おかしなことになってしまった理由は……

ドイル、「ホームズ」終わりたかったってよ。

 はいすみません、ちょっと無理のある見出しで始めてしまいました 笑

(朝井リョウ先生とファンのみなさまごめんなさい)

 

お詫びにリンクを

 

 実は作者のコナン・ドイル、「シャーロック・ホームズ」シリーズを、早く終わらせたかったらしいんですよね。

 理由は、別ジャンル(歴史小説)の作家として認識されたかったからだそうです……。

 

 そのために、「ホームズ」シリーズに、2回も「最後」の付いたタイトルつけて。

 それでも、あまりの人気にやめられず、実際には「最後」にならなくて 笑

 なのに、そのタイトルはそのまま変えずに残したという……。


 そのせいで、そういうタイトルを見た読者は、

「あれっ? この話、『最後』ってなってるけど、ホームズのシリーズは終わって……ない?」

 と変な気持ちになるわけです 笑

 

 それと、最後最後詐欺、じゃなかった、 その話は別にしても、ホームズシリーズのタイトルって、「ひと目でわかるネタバレ」的なのがありますよねー。

 雑誌や書籍の編集さんたち、ドイルに「いや、この題名は変えた方が」って意見しなかったのかな?

 そこはもうちょっと、読者のために考えてほしかった気が 笑

 もー、そういうとこだぞ、ドイル☆

 

 そんな、イヤイヤ期続きのドイルではありますが。

 1859年生まれの自分の作品が、21世紀になってもこんなに読まれていることや、後世の小説家のみならず、様々な分野のクリエイターたちにまで、多大な影響を及ぼしていることを知ったら、さすがに喜んでくれたのではないでしょうか。

 ……それとも、やっぱり歴史小説で売れたかったのかなあ? (なんかごめんねドイル~)

次回は小説「シャーロック・ホームズ」おすすめ出版社について

 次回は、「ホームズ」シリーズを読むにあたってのタイプ別おすすめ出版社や、ドイルがミステリー界に与えた影響について紹介します。

books-toraji.com

 よろしければ、またおつきあいください。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 みなさま、どうぞ楽しい物語体験を♪