「神の鉄槌」G・K・チェスタトン ~原作小説とドラマ「ブラウン神父」の比較~

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「ブラウン神父」、実は人気ドラマシリーズでした

 大変だー!

 

 先日、ブラウン神父の小説の記事を書いたあと、

 

 

 

 あれこれ調べていて知ったのですが!

 

 ブラウン神父シリーズって、かなり前からBBCでドラマやってたんですね!
(情報が! 遅い!)(すみません!)

 

 最新話のシーズン11は、すでにこの春ミステリーチャンネルで放送済みだとか。
 続くシーズン12は、来年(2025年)イギリスで放送予定。

 さらにシーズン13も、制作が決まっているそう。

 人気あるんですねえ。

 

 そして、シーズン1から10まで、現在Amazonプライムで配信中です。

 

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 このAmazonプライムで、ドラマの各話説明を見ていたところ、シーズン1の第1話が、先日紹介した短編集『ブラウン神父の童心』にある作品と同じ、「神の鉄槌」というタイトルでした。

 

 これは、原作ベースだね? あらすじもそれっぽいし。

 というわけで、原作小説とドラマを比較してみようと思います。

 

 

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■目次■

 

「神の鉄槌」原作小説あらすじ

 

 明け方、村の教会のすぐそばにある鍛冶屋の前で、牧師のウィルフレッド・ブーン師と、兄のノーマン・ブーン大佐がばったり会います。

 

 ふたりは貴族で、弟は目の前の高い塔のある教会へ朝のお勤めに行くところ、兄は朝まで酒場で飲んだあげく、道端のベンチでさらにひとり飲みをしているところでした。

 

 鍛冶屋のバーンズの妻と関係している大佐を、弟の牧師は神による罰を引き合いにしてとがめます。
 大佐はそれを意に介さず、それどころか、そのあとやってきた障がいのある若者をいじめます。

 

 その後、美しい教会の中で祈っていた牧師のもとに、兄の大佐が鍛冶屋の庭で、巨大な力で頭を砕かれて死んでいるのがみつかったという知らせが届きます。

 

 落ちていた凶器のハンマーは、傷に似合わない小さく軽いものでした。
 しかも大佐は、死亡時に緑色の鉄のかぶとをかぶっており――。

 

 短編集『ブラウン神父の童心』第9話、原題はThe Hammer of Godです。

 

「神の鉄槌」原作小説感想

 普通なら容疑者になる、力持ちの上に妻を寝取られた鍛冶屋のバーンズが、明白なアリバイがあって早々に犯人候補から外れたところで、よかったーと読んでいてひと安心。

 

 ていうか、そもそもこんな馬鹿力が出せる人間、この世にいないよね? 
 それともやっぱ、バーンズがなにかすごいトリックで?


 と、読者が思うか思わないかのうちに、牧師より先に現場に来ていたブラウン神父が、あっというまに、それはもうあっというまに、超・名推理をするんですよねー。

 

 あの速さはもう、捜査というよりひらめき✨ 笑
 あと、神父が途中でいうヒントが、わかりやすすぎ 笑(決めゼリフ感があってかっこいいですけど)

 

 美しい「ゴチック建築」(今日ではゴシック建築という表記が一般的でしょうか?)の教会のつくりと、その高いバルコニーから眺める田園風景が、とてもていねいに描かれており、しかも伏線となっています。

 

「神の鉄槌」ドラマあらすじ

 

 記念すべきドラマ第1話は、「事後」な男女がベッドで会話しているシーンでスタート。原作との違いが際立ちます。

 といっても、女性は相手の男性に脅されて、仕方なく応じている様子。

 

 場面変わって、主人公のブラウン神父が、ケンブルフォードの仲間たちと屋外で持ち寄りのティーパーティーに参加しています。
 カトリックであるブラウン神父と宗派は違いますが、聖公会のボーハン神父主催の、時計塔が新しくなったお祝いに招かれたのです。

(ミステリーチャンネルによると、ケンブルフォードは架空の田舎町だそうです)

 

 お天気がよくて、緑がきれいです。「ストロベリースコーン」何回いうねん問題発生。
 新しい時計塔にうきうきしているボーハン牧師に、塔のあの時計は正確な時刻より少し遅れてますねと容赦なく告げる、空気を読まないブラウン神父 笑

 

 そこへ、招かれてもいないのに、冒頭のいやな男・ノーマンが現れます。

 彼は牧師の弟で、ふたりはお金持ちのお坊ちゃん。放蕩者のノーマンは村の鼻つまみもので、兄の注意は聞かず、せっかくのパーティー会場でも、伯爵夫人のレディ・フェリシアや、家政婦のポーランド移民スージーともめます。

 

 冒頭ベッドにいた女性(少女といってもいいくらいあどけない感じ)は、鍛冶屋の妻エリザベスでした。
 ノーマンはエリザベスの夫シメオンの前で、エリザベスにこれみよがしな態度をとります。妻の不貞に気づいていたシメオンは、その態度にキレてノーマンに殴りかかります。

 

 ケンカのあと、兄である牧師は弟のノーマンに、親の遺産は分けないと言い放ちます。(原作と違い、ドラマは1950年代の設定です)
 ふてくされ、物陰で賭けごと仲間の友人男性につっかかるノーマン。

 

 その直後、皆で新しい時計が午後3時の鐘を鳴らすのを聞いたのとほぼ同時に(時計はやはり少し遅れていました)、強い力で頭を打ち砕かれたノーマンの死体が発見されます。

 

 凶器は鍛冶屋のシメオンのハンマーでした。
 動機があり力も強いシメオンが逮捕されそうになりますが、妻のエリザベスが自分がやったといい、警察に連行されます。

 

 それがふに落ちないブラウン神父は、事件について調べ始め――。

 

「神の鉄槌」ドラマ感想

 まずは、主人公・ブラウン神父役の俳優、マーク・ウィリアムズさんについて。

 この方、映画「ハリー・ポッター」シリーズで、ハリーの親友・ロンのお父さん役をされてたそうです。

 あの、マグル(=人間)の道具に興味津々で、奥さんに怒られながら自動車とかアレしてた、子だくさんのキュートなお父さんかー 笑 
 好感度高すぎて、なんかもう、ウィーズリーさんって呼んじゃいそう 笑

 

 さてこの方、キュートなのはいいけど、ブラウン神父にしてはでかい! そして、面長! 
 原作の神父は、背が低くて丸顔なのです。

 

 でも、雰囲気は合ってる気もするような……いや、ちょっとアクティブすぎるかなあ 笑
 坂道の多い村の中を、自転車乗り回すんですよねえ。

 

 さて、原作小説は掌編ということもあって、あまり書きこまれておらず、あっさりというか少々そっけないところがあります。

 

 あの短いお話を、ドラマにできるのかな? と思っていたら、ドラマではものすごい量の設定を乗っけてきていて、びっくりしました。
 伯爵夫人とか、移民とか、移民に意地悪するおばあさんとか。なるほど、これならドラマになる 笑 そういえばポワロも、なにかと外国人って意地悪いわれてたなあ。

 

 バレンタイン警部補っていう人も出てきて驚きましたが、これは原作のヴァランタン警視総監とは別人ですよね。(じゃなきゃ困る! 笑)
 原作ではフランスの人でしたしね。

 

 画面いっぱいに広がるイギリスの田舎町(撮影地はコッツウォルズだそうです)の風景がとてもきれいで、同じBBCのミス・マープルものをちょっと思い出しました。

 

 ブラウン神父のひらめき一発! って感じの原作とは違い、ドラマでは神父がいろいろな人に話を聞きながら調査を進めるので、よりミステリー感があります。

 

 あと、小さい点ですが今回のお話、原作とドラマで兄と弟が逆になってるんですね。なんでだろう。勘当させたかったから?

 

 原作を読んだときちょっとひっかかった、「そんなにうまくいくかな?」という箇所が、ドラマでは偶然とされていたところは、納得できてよかったです。

 

 

 次回は、同じく『ブラウン神父の童心』収録の『見えない男』を原作としたドラマを、原作小説と比較します。

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 どうぞみなさま、楽しい物語体験を♪