しかし周囲にいるのは、彼に死なれては困るという人間ばかりで――。
レジェンドミステリー作家による、切れ味のいい人気短編です。

「死なれては困る」あらすじ
6月下旬の夜10時過ぎ、意識不明の状態が続く入院患者の病室に男が侵入し、患者の鼻のチューブを抜いて首を絞めようとしました。
患者の妻に気づかれ、男は逃走。
幸い、被害らしい被害はありませんでしたが、警察の捜査が始まります。
患者は、地元企業を父親から引き継いだ40代の社長。
3か月前に、ゴルフ中に意識を失ってこの大学病院に運ばれていました。
医師によると、低血糖の治療をしたものの、その後もなぜか意識が戻らないままで、回復の見込みは低いそうです。
社長の妻や、先代社長の庶子で社長の異母弟である副社長は、患者を殺そうとした人物に心当たりはないといいます。
その後、警察の調べにより、社長がケチで横暴で周囲に嫌われていたことが判明。女性問題も発覚します。
ところが、社長を恨んでいるであろう妻や副社長は、彼には生きていてもらわなければ困ると主張し――。
「死なれては困る」作者:夏樹静子
2016年に77歳で亡くなった作者の夏樹静子は、人気作品を数多く生み出し、「ミステリーの女王」と呼ばれた人気作家。
1970年、2度目の江戸川乱歩賞最終候補となった長編『天使が消えていく』で初の単行本出版。
1973年、長編第2作『蒸発』で日本推理作家協会賞を受賞。
数々の作品がドラマ化・映画化されるだけでもすごい( 語彙)のですが、
「女王」たるものさらにスケールが大きく、なんと、
「夏樹静子サスペンス」というドラマ枠
を持っていたとか。
かっこいいなー。
他にも、
- 乱歩賞の最終候補に2回なった
とか、
- エラリー・クイーンのひとりであるフレデリック・ダネイと親交があった
とか、
- 代表作『Wの悲劇』はクイーンのドルリー・レーン「悲劇」シリーズへのオマージュ
とか。
仕事でもプライベートでも、かっこいいエピソード多数( 語彙)の、エネルギッシュなレジェンド作家です。
※夏樹静子作品といえばこちら!
ただし、映画とはだいぶ内容が異なるそう(驚)
※ミステリー以外でこんな作品も。
「死なれては困る」感想
ミスリードがうまい!
レッドへリングというのか、なんというか、とにかく、
ってなりましたよねー 笑
うまいわー。
騙されて、めっちゃ嬉しかったです 笑笑
(ネタバレ防止のため、これ以上書けません 笑)
トリック・動機・犯行コスト・幕切れ
メイントリックには医療知識が用いられていますが、わかりやすく説明されています。
とはいえ、読者がその説明前に自力で「犯人」を当てるのは、無理じゃないかな~ 笑
事件の関係者には、
患者に死なれては困る人ばかりではなく、
早く死んでほしい人も。
でも、肝心の犯人と犯行動機は……。
うーん、なるほど。
そういうことなんですね。
新しいな!
だけどこの犯行、真似する人が出るかも?
(とはいえミステリーって、模倣犯を防止するために、真似しても実際にはうまくいかないように書かれていると聞いたことが)
ついでにいうと、あの犯行って、お金の問題もありますよね。
その辺は、事前に手を打っておいたのかな?
幕切れもきれいでした。
続きが知りたい気持ちも少しありますが、物語としては、やはりここで終わるのがベストですね。
(ネタバレ防止に、全体的にふんわりした表現となっております)
懐かしのサスペンスドラマ風小説
昔のテレビ番組「○○サスペンス(劇場)」を思い出させる雰囲気の作品です。
自宅でくつろいでいる刑事が、ふとしたきっかけで事件のヒントを得てハッ!とするシーンに、
「こういうの、観たことある~」
と、ニヤニヤしてしまいました 笑
そういえば、昔はしょっちゅう放送されてましたよね、2時間サスペンスドラマ。
(テレビの前でじっくり観たことなかったのに、
いつのまにか耳で覚えたもんなあ、竹内まりあの「シングル・アゲイン」 笑)
いわゆるイヤミスとはちょっと違いますが、心理描写が多く独特の雰囲気がある作品です。
「死なれては困る」こんな方におすすめ
- さくっと読める短編ミステリーをお探しの方
- イヤミス好きさん
- 夏樹静子の名前は知ってるから読んでみたいな~、という方
- 懐かしのサスペンスドラマファン
※レジェンド作家のミステリーならこちらもおすすめ
※オーディブルで読んで(聴いて)みたくなった方は、こちらからどうぞ
※よろしければこちらもご一緒に
※当ブログのオーディブル体験記事まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
☆この記事では以下のサイトを参考にしました。
○一般社団法人日本推理作家協会
会報2016年4月号「訃報 会員・夏樹静子氏死去」
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