『スタイルズ荘の怪事件』と『ゴルフ場殺人事件』の間の時期に起きた、14の事件が収録されています。
珍しいポワロの失敗談や、ヘイスティングズとの同居エピソードをどうぞ。
原題は“Poirot Investigates”、1924年出版。
- 短編集「ポアロ登場」とは:ポワロとヘイスティングズのファンなら見逃せない同居生活!ポワロの失敗談も
- 短編集「ポアロ登場」あらすじ・感想
- 第1話「〈西洋の星〉盗難事件」:ダイヤモンドとスターと貴族の詰め合わせ
- 第2話「マースドン荘の悲劇」:ホラー風味の展開
- 第3話「安アパート事件」:おしゃれな小品
- 第4話「狩人荘の怪事件」:ヘイスティングズのはじめてのおつかい
- 第5話「百万ドル債券盗難事件」:ポワロの減らず口に思わず笑ってしまうヘイスティングズ
- 第6話「エジプト墳墓の謎」:やつあたりポワロを愛でる回
- 第7話「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」:映像化したら映えそうな犯罪
- 第8話「首相誘拐事件」:国家の危機をめぐるサスペンス
- 第9話「ミスタ・ダヴンハイムの失踪」:イギリス人は(ベルギー人も?)やっぱり賭けが好き
- 第10話「イタリア貴族殺害事件」:映像で見たい作品
- 第11話「謎の遺言書」:専門家に頼るという能力
- 第12話「ヴェールをかけた女」:ポワロがよく使う感嘆詞は「チャー」
- 第13話「消えた炭坑」:ポワロが唯一所有する株にまつわるエピソード
- 最終/第14話「チョコレートの箱」:ポワロの失敗談☆
- 短編集「ポアロ登場」こんな方におすすめ

\クリスティー関連記事一覧/
短編集「ポアロ登場」とは:ポワロとヘイスティングズのファンなら見逃せない同居生活!ポワロの失敗談も
短編集『ポアロ登場』の特徴
- ホームズシリーズの影響が強い。ぶっちゃけオマージュ 笑
- わかりやすいけれど、クリスティー作品としては淡泊で、ドラマティックさに欠ける作品が多い。
- デビュー作でポワロもの第1作の『スタイルズ荘の怪事件』が1920年
- 「トミーとタペンス」シリーズ第1作『秘密機関』が1922年
- ポワロの第2作『ゴルフ場殺人事件』が1923年
ポワロとヘイスティングズの楽しいやりとり♪
- ポワロにまんまとしてやられる、通常営業のヘイスティングズ(と、ジャップ警部)
とか、
- ポワロの自画自賛にイラっとしながらも、大目にみてやるヘイスティングズ
短編集「ポアロ登場」あらすじ・感想
第1話「〈西洋の星〉盗難事件」:ダイヤモンドとスターと貴族の詰め合わせ
ハリウッドスターとイギリス貴族が所有するふたつのダイヤモンド、〈西洋の星〉〈東洋の星〉にまつわる盗難事件。
ヘイスティングズとポワロが通行人を観察するシーンから始まる冒頭が、わかりやすいホームズ作品へのオマージュになっています 笑
ポワロの口調や事件の解説が、このシリーズにしては生々しくてちょっとびっくり。
あと、作者は一度、中国人に謝っておいた方がいいのでは 笑
第2話「マースドン荘の悲劇」:ホラー風味の展開
保険会社の依頼で、謎の死を遂げた男性について調べるポワロ。
本当にそんな方法があるの? とシンプルに思いました 笑
謎解きの仕掛けはアレですが、ヘイスティングズが意図せずしていい仕事を 笑
第3話「安アパート事件」:おしゃれな小品
「例によって、きみは赤毛がお気に入りなんだな!」
と、ポワロにからかわれるヘイスティングズ 笑
\おっしゃる通りです!/
家賃の高いロンドンで、幸運にも良いアパートをみつけたという、赤みがかった金髪のミセス・ロビンソン。
ヘイスティングズがその話をポワロにすると――。
動機がユニーク!
あと、クリスティーに限らず、この時代を舞台にしたエンタメ作品って、この設備を使うのが好きですよね~。
猫の真似をするポワロも、普通にかわいくて見どころです 笑
第4話「狩人荘の怪事件」:ヘイスティングズのはじめてのおつかい
インフルエンザの治りかけのポワロに代わって、依頼人ロジャー・ヘイヴァリングの別荘「狩人荘」へ赴くヘイスティングズ。
ヘイヴァリング氏が妻や叔父と滞在していたその屋敷で、彼の留守中に叔父が殺されたといい――。
ポワロに電報で指示されながら、ヘイスティングズがジャップ警部と共に頑張るという、ホームズシリーズの「ワトソンひとりで頑張る回」を想起させる作品です。
\頑張ったワトソン/
\再度頑張ったワトソン/
第5話「百万ドル債券盗難事件」:ポワロの減らず口に思わず笑ってしまうヘイスティングズ
「エルキュール・ポワロの卓越した頭脳をもってすればこんな事件など明々白々だが、神様にぼくほどの才能を授からなかった人たち(中略)のために、もう少し調べて事実関係の裏づけをしてあげようと思ってね。自分ほど才能を授からなかった人々に対しては、思いやりというやつが必要だからな」
「まったく、あんたときたら!(中略)ポアロ。自惚れもいい加減にしろ!」
「まあ、そう怒るなよ、ヘイスティングズ。時々きみは、本気でぼくを嫌いになるみたいだな。まったく、才能のある者は辛いよ!」
ロンドンからニューヨークへ向かう大型客船の中で、百万ドルの債券が入ったトランクが破られる。
船内のどこを探してもみつからなかった債券は、船が入港して間もなく、なぜか売りに出されていて――。
スレたミステリーファンなら気づきそうな犯行。
チャーミングな依頼人のために、わざわざテーブルの下のパンくずを捨てたり、依頼人のほっぺにキスするポワロも見どころです 笑
ポワロを悩ませる船酔いの話は、続く第6話でも出てきます 笑
(作者の悪意を感じるわ~ 笑)
\ポワロの船酔い対策はこちら/
第6話「エジプト墳墓の謎」:やつあたりポワロを愛でる回
エジプトでの墳墓の調査に関わった人々が相次いで亡くなり、亡くなった老古学者の妻の依頼で現地に赴くポワロとヘイスティングズ。
船酔いポワロと砂漠嫌いポワロがかわいかったので、以下抜粋 笑
ポワロ「それに、ぼくの靴を見てくれ」
「ヘイスティングズ、いつもぴかぴかに光っていたこのエナメル靴がだ、中は砂だらけで痛いし、外側だって目を覆いたくなるような有様だ。おまけにこの暑さときたら。おかげで、口髭がヘナヘナだ!」
ヘイスティングズ「あのスフィンクスを見てみろよ」
「このぼくでさえ、あれが発散する神秘と魅力を感じることができるぞ」
ポワロ「どうってことはないじゃないか」
「だらしなく半分砂に埋まって、どこが神秘だ?」
「それに、あのヤシの木も気に食わないね。どうしてきちんと一列に植えないんだ!」
第7話「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」:映像化したら映えそうな犯罪
グランド・メトロポリタン・ホテルに宿泊中の、オパルセン夫人の真珠のネックレスが盗まれた。
夫人のメイドが見張っていた中で、犯人はどうやってネックレスを盗み出したのか。
見取り図もついた本格ミステリーです。
面白いけど、調査パートがちょっと短すぎてあっけない印象でした。
第8話「首相誘拐事件」:国家の危機をめぐるサスペンス
重要な国際会議を控えたイギリス首相が、1日に2度も襲われる。
最初の銃撃からはなんとか逃れた首相だったが、その後フランスのブーローニュで偽の迎えの車に乗せられ、姿を消した。
イギリス政府から依頼を受けたポワロは、会議までに首相を取り戻すことができるのか。
ポワロ、またしても船酔いのピンチ 笑い
ダブルで、っていう目のつけどころがよかったです!
第9話「ミスタ・ダヴンハイムの失踪」:イギリス人は(ベルギー人も?)やっぱり賭けが好き
世間を騒がす銀行頭取ダヴンハイム氏の失踪事件の謎が解けるか、ジャップ警部と賭けをするポワロ。
(『ゴルフ場殺人事件』でも、パリ警視庁の刑事と賭けてましたが 笑)
妻や仕事相手に何も告げずに、ダヴンハイム氏が姿を消したあと、彼の書斎の金庫から中身が盗まれていることが判明し――。
スレたミステリーファンなら、早々に真相に気づくかも。
あと、あの準備はさすがにやりすぎでは 笑
第10話「イタリア貴族殺害事件」:映像で見たい作品
ポワロとヘイスティングズの友人、ドクター・ホーカーの家に、イタリア人のフォスカティーニ伯爵から瀕死の電話が。
自宅アパートメントで2人の客と夕食をとったという伯爵は、死体となって発見され――。
部屋から出ずに食事の注文から配達・食器の返却までできる仕組みって、楽そうだけど、実際には機械の不具合に悩まされそう 笑
ポワロに「かなりの切れ者」と評されつつ、意外と物理で解決するタイプの犯人がユニークでした。
ふと思ったのですが、司法解剖ってなかったのかな?
第11話「謎の遺言書」:専門家に頼るという能力
現代風の若い美女から、彼女の唯一の親族である伯父の遺言状を探すよう依頼を受けたポワロは、デヴォンシャーにある伯父の家に向かい――。
あの方法って、細かい字には向いていないような印象が 笑
最後のポワロのセリフは、現代にも通じる感覚ですよね。
第12話「ヴェールをかけた女」:ポワロがよく使う感嘆詞は「チャー」
ヴェールで顔を隠した若い美女の依頼人。
結婚を控えたアイルランドの貧乏貴族だという彼女は、昔書いたラブレターをもとに、ラヴィントンという男から脅迫されているといい――。
「チャー!」っていうポワロがかわいいから、ファンは全員ぜひ読んでほしい!(爆笑)
(でもリアルでこんなおじさんがいたらちょっとイヤ 笑)
意外な真相でしたが、最後に言及していたあの件はあと出しでは。
第13話「消えた炭坑」:ポワロが唯一所有する株にまつわるエピソード
ポワロが唯一持っているという、「ビルマ鉱業株式会社の1万4千株」にまつわる過去の事件の話。
ビルマのとある鉱山に関する交渉のため、イギリスにやってきた中国人男性ウー・リン氏が、死体となって発見され――。
調査中のいきいきした描写が楽しい作品。
推理はスピーディーすぎるというか、ちょっと都合がいい印象です。
あと、あの書き方については、やはりクリスティーは一度、中国人に謝っておいた方がよかったのでは 笑
最終/第14話「チョコレートの箱」:ポワロの失敗談☆
「ああ、一度だけ大恥をかいたことがある」
ポワロ唯一の、自身のミスによる失敗談。
ベルギー警察の刑事時代、ポワロは教養ある若い美女から、有力な代議士だったデルラール氏の急死について調べてほしいと頼まれます。
屋敷でみつけた、箱とふたの色が異なるチョコレートの箱に目をとめたポワロは、根気よく調査を続けて――。
この短編集で一番読みごたえがありました。
ラストは、シャーロック・ホームズシリーズの某短編への明確なオマージュになっています。
ホームズのラストはおしゃれな一方、本作はかわいらしくまとまっているところが、作家の個性ですかねー。
(ヘイスティングズ、やっぱいい人! 笑)
短編集「ポアロ登場」こんな方におすすめ
- さらっと読みやすい短編ミステリーをお探しの方
- ポワロのファンかヘイスティングズのファン、あるいは両方のファン
- ポワロの失敗談を読みたい方
- クリスティーのホームズファンぶりを見たい方
※ミステリー短編集に興味のある方は、こちらもどうぞ
※当ブログのクリスティー関連記事一覧はこちら
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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