のどかな田園風景の中に建つスタイルズ荘の持ち主で、20歳以上も若い男性と再婚したばかりの、美しく傲慢な老女が毒殺された。
前線で負傷し同荘で休暇中だったヘイスティングズは、再会したベルギー警察の名刑事エルキュール・ポワロと共に事件を調べることに。
ミステリの女王のデビュー作にして、名探偵ポワロシリーズ第1作。
原題は“The Mysterious Affair at Styles”、1920年発表。
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※他にもいろいろ

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「スタイルズ荘の怪事件」あらすじ
- エミリーとアルフレッドの夫婦
- エミリーの世話をしているエヴリン
- ジョンと妻のメアリ
- ジョンの弟のローレンス
- エミリーの友人の娘シンシア
「スタイルズ荘の怪事件」感想
ハイレベルだし映えるけど、設定盛りすぎ!「ミステリの女王」のデビュー作/あの『カーテン』の舞台にも
先にも述べたように、この作品はアガサ・クリスティーのデビュー作。
トリックも人間ドラマも満載の、よく出来た長編ミステリーです。
ですが、設定を盛り込みすぎたせいか、
あるいは、あのヘイスティングズ視点で語られるせいか 笑、
特に最初の方は、ピントや構図の甘いカメラ越しにドラマを観ているような、どことなく散漫な印象が……。
(ファンの方すみません)
デビッド・スーシェ主演でドラマ化も
とはいえ、
- 2度の再婚や引き取られた孤児といった、複雑な家族関係と
- 戦時中という特殊な環境
を背景に、
- 古風なカントリーハウスでの殺人事件と
- それを彩る恋愛模様
さらに、
- そこに飛びこんだ、ポワロとヘイスティングズという異分子
とくれば、映像化向きの作品であること間違いなし!
デビッド・スーシェ主演で、テレビドラマになっています。
舞台はポワロシリーズ最終作『カーテン』と同じスタイルズ荘!
ちなみに、本作の舞台となったスタイルズ荘は、
クリスティーの死後発表され、
ポワロシリーズ最終作であり問題作としても知られる、
長編『カーテン』の舞台にもなっています。
(※シリーズ最終作『カーテン』は、なるべく他のポワロ作品を読み終えてから読むことをおすすめします!)
\紹介記事はこちら/
ミステリ黄金時代の幕開けとなった重要な作品ながら、数社でボツに
巻末の数藤康雄の「解説」によると、この作品は当時としては珍しい
「フェアプレイ重視の現代的な謎解き小説」
であり、本作によって
「ミステリ黄金時代(謎解き主体の長篇ミステリが最も盛んであった時代)の幕が開いた」
といえる、重要な作品なのだとか。
巻頭のマシュー・プリチャード(*注)「『スタイルズ荘の怪事件』によせて」によれば、本作では作者のクリスティーが第一次大戦中に病院の薬局で働いた経験も活かされているそうです。
ただし、書き上げた原稿を出版社に送ったところ、最初の4、5社からは送り返されたそうな。
それがのちに世界的な大ヒットシリーズになるとは、同じイギリス作家の「ハリー・ポッター」シリーズみたいですね~。
*マシュー・プリチャード氏は、クリスティーの娘ロザリンドの息子で、クリスティー財団の前理事長。
よきトリックたち!
伏線のきちんと張られた様々なトリックが出てくるところが魅力的なこの作品。
本格好きさんに人気の、屋敷の見取り図もありますよ♪
一部、毒物に関する知識が必要な箇所もありますが、それはまあ物知りさんへのボーナス問題とでもいいますか……笑
わたしは、口論にまつわるミスリードが好きでした。
日程変更関係も面白かったなー。
(ネタバレ防止にふわっと書いております 笑)
ポワロとヘイスティングズの再会と友情
久しぶりに再読して驚いたのですが、
ヘイスティングズとポワロの年齢って、シリーズスタート時点で
30歳と60歳前後だったんですね! 驚
親子くらいの年の差で、このあともずっと友情を育むって(一時は同居も!)、すごいな~。
戦前は保険のロイズで働いていたけど、できることなら今後は犯罪捜査がしてみたいと、作中で語るヘイスティングズ。
「昔、ベルギーである人物に出会ったんです。とても有名な刑事で、惚れこんでしまって。すばらしい人でした。すぐれた犯罪捜査とは理論的な方法の問題にすぎないとよく言っていました。(中略)小柄な変わった男ですが、とびきりのダンディーで、すばらしく頭が切れるんです」
(p22)
再会前からポワロのことめっちゃ尊敬してたヘイスティングズに、ほっこり。
(ポワロよかったね~)
なのに再会後、「なんか馬鹿にされた気がする!」と、
ちょいちょいポワロに腹立ててるヘイスティングズ 笑
でも、この年の差で、しかもこのキャラなら、ポワロのあの扱いも仕方ない気がしますよね 笑
(あと多分、ホームズ好きのクリスティーによる、ホームズ・ワトソン関係のオマージュっていうところもあるし)
ヘイスティングズ、無駄に持ってるっていうか、うっかりうたた寝した結果、修羅場に遭遇したりもしてるしなー 笑笑
ポワロにさんざん翻弄された結果、
今後なにかおもしろい重要な発見をしたら――おそらく、そうなるだろうが――そのときは自分の胸にしまっておいて、土壇場でポアロをびっくりさせてやろう。
人間、ときには強気に出ることも大切だ。
(p225)
と、ひそかに復讐(?)を心に誓うヘイスティングズが、なんともいじらしかったです 笑
初登場時のポワロのプロフィールはこれ!
- 身長5フィート4インチそこそこ
- 年齢60歳前後
- 卵のような頭の形
- いつも小首をかしげている(かわいい! 笑)
- 軍人風にぴんとはねあがった口ひげ
- 身だしなみに潔癖
- 足をひきずっている
そして、
- 推理が当たり失いかけていた自信を取り戻すと、「窓の外に広がる芝生の上を走ったり跳びまわったりして」はねまわって喜ぶ。(p263)
目に涙を浮かべる珍しいポワロの姿
「(前略)あの方はだれからもこのうえなく愛されたわけではない――それは事実です。ですが、わたしどもベルギー人にはとてもよくしてくださった。ご恩があるんです」
(p148)
何者かによって殺されたエミリーは、ポワロたちベルギーからの亡命者を保護してくれた資産家。
たとえそれが心からの慈善行為ではなかったにせよ、彼女に恩返しを誓うという、シリーズを通しても珍しいポワロの姿に注目です。
名言出ました
「一組の男女の幸福ほど大切なものはこの世にはありません」
「そうかもしれませんね、ポアロ」わたしは穏やかに言った。「ええ、それより大切なものはこの世にはありません」
(p353)
そこは別に、恋する男女の幸福に限定せず、全人類の愛ってことにしておいたらどうかな…… 笑
ヘイスティングスのキャラが心配
久しぶりに本作を再読して思ったことがもうひとつ。
ヘイスティングズのキャラについて、ちょっと懸念が。
この作品での彼って、
(既婚未婚にかかわらず)ちょっときれいな女性に会うとすぐぽーっとなる、優しいけどモテない、影の薄い主人公では――。
いかん!
これはちょっと、どうにかしないと。
このままだとこの主人公、人気出ないわ!
( ↑ 行き過ぎた愛が迷子になったファン 笑)
というわけで、
第2作の『ゴルフ場殺人事件』でのヘイスティングズはどうなっているか、要チェックです! 笑
そうそう、キャラといえば、登場人物一覧に載ってないけど重要な役割を担っている、あの人について。
その後のクリスティなら嬉々として書きこみそうな、罪深い(?)キャラクターですが、デビュー作ということでちょっと世間の目を気にして、さらっと仕上げたのでしょうかねー。
(ネタバレ防止にふわっと 以下略)
「スタイルズ荘の怪事件」こんな方におすすめ
- 本格ミステリー好きさん
- アガサ・クリスティーのデビュー作に興味のある方
- 「エルキュール・ポワロ」シリーズに興味のある方、第1作を読みたい方
\シリーズ次回記事はこちら/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさま、どうぞ楽しい物語体験を ♪
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